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NYリレー小説プロジェクト

第一話から読む

マイキーとイーストヴィレッジの住人たち 第7話(リレー小説・有料編)

第七走者: らうす・こんぶ


ホセは自分のアパートに戻ると、テレビの前のカウチにどっかりと腰を下ろして考え込んだ。テレビではサッカーの試合を中継していたが、ホセは上の空だった。スペインとブラジルの試合だったら熱狂するが、メキシコ出身のホセは日本とアメリカの試合にはさほど興味がなかった。

ーーセニョーラ・チヨは何か隠しているようだったな。

チヨは穏やかでアパートの誰からも好かれるジャパニーズ・オールド・レディーで、これまで何のトラブルも起こしたことがない。ジョセフィーヌは要注意人物だが、チヨに限って人に迷惑をかけるようなことはしないはずだ。だが、ホセはさっきのチヨの様子が気になった。リサと彼女のアパートを訪ねたとき、チヨは明らかに狼狽したように見えた。それはなぜなのか。チヨは正直で嘘などつかない女性だと思われていただけに、狼狽のワケが気にかかる。

ーーあら、ホセ。どうしたのさ、サッカーの試合やってるのにボーッとしちゃって。

不意にキッチンの方から陽気な声が聞こえてきた。妻のサンドラが仕事から戻ったのだ。仕事帰りにスーパーで買い物してきたエコバッグをキッチンテーブルの上に置くと、ホセのいるリビングに入ってきた。サンドラは近所の韓国系アメリカ人が経営する24時間営業のランドリーで働いている。

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