スイーツ離れ
今回のテーマ:スイーツ
by らうす・こんぶ
↑ 写真は中東のスイーツ「バクラヴァ」
今回のテーマにはちょっと困ってしまった。私にはもう甘いものに対するパッションがないからだ。
20年前、ニューヨークに行って間もない頃は、日本ではあまり見かけないようなお菓子が珍しくて、いろいろ試してみた。XLサイズのドーナツやクッキーにこれもXLのチーズケーキ、イタリア系のベーカリーで売られている、カラフルなクッキーやフラン(カスタードプディング)。中国系のベーカリーの菓子パンやケーキ。中東のお菓子、バクラヴァはナッツが入ったパイのようなスイーツで、上に濃厚なシロップがたっぷりかかっている。インド系のお惣菜屋の店先では、ミルク味の甘いあんこを固めたようなカラフルなスイーツが売られていた。
世界中のお菓子が手に入る環境だったが、中でもシチリアのお菓子、カノーリ(カンノーリ、カンノーロ)は人気があった。筒状のクッキーの中にリコッタチーズがたっぷりのクリームが詰まっている。日本では食べたことがなかったので、初めて食べた時はとってもおいしく感じた。アメリカのスイーツは、一般的に甘さ控えめに慣れている日本人の舌には激甘だが、リコッタチーズのクリームはチーズが甘さを中和するので、日本人でも好きな人が多い。
ホームパーティーの時は、カノーリやフラン、バクラヴァなどがデザートによく出てきた。私が買っておくこともあれば、誰かが持ってきてくれることもあった。フランはカスタードプディングで、これも誰でも大好きなおやつなので、パーティーにはもってこいだった。私は自分でもカノーリやフランを買ってきて食べることがあった。
ところが、いつからか、気がついたらスイーツをあまり食べなくなっていた。食後やコーヒータイムに少し甘いものが欲しいと思うことはあるので、チョコレートやクッキーなどを少し買っておくが、なかなかなくならない。以前だったらすぐに食べてしまったのに。
少し高級なお菓子ならおいしく食べられるかと思ってたまに買ってくるが、これもいつまでもある。以前だったら、好きなスイーツはすぐになくなってしまい、「ちょっと甘いもの食べすぎかなあ」と反省することもあったが、そういうことがなくなった。
私はどちらかというと和菓子が好きで、ニューヨークでは冷凍の和菓子しか売られてなかったので、帰国したら、文明堂のカステラでも、とらやの羊羹でも食べ放題だと思っていた。薄茶を点てておいしい和菓子を食べようと思っていた。でも、まだ文明堂のカステラもとらやの羊羹も買いに行っていない。デパ地下のスイーツのコーナーを見ても、きれいだなと思うだけであまり食べたいとは思わない。
むしろ、おいしそうなお惣菜に目がいく。このお惣菜でビール、とか、このチーズとワインとか、そっちの方が食指が動く。ということは、私は甘党から辛党に変わってしまったということだろうか??
らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。
らうす・こんぶのnote:
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