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子供たちにアジアのお菓子を

テーマ:ハロウィーン
by 福島 千里

わが家には子供がいない。けれども、近所にはちびっ子たちが多い。それゆえ、毎年10月31日にはかわいいコスチュームに身を包んだ子供たちが「トリック・オア・トリート!」と声を上げてわんさとやってくる。

パンデミック前は、子供たちがドアベルを鳴らすたびにドアを開け、バケツに入ったキャンディを好きなだけ取ってもらうスタイルを貫いていた。子供たちがお菓子選びに真剣になるかたわら、本日の収穫具合や今年のコスチュームのお気に入りの話など伺う。そんなちょっとしたやりとりが楽しかった。

が、2020年以降はこれを非接触式にせざるを得なかった。ちびっ子ご自慢の仮装姿をじかに拝見できないのは残念だったけど、世はコロナ禍。致し方ない。ここ2年はご近所さんに習ってキャンディを入れたバケツを玄関前にどん!と置き、「ご自由に持っていってね」の札を立てる。これがなんとも味気ない。

2020〜2021年はどこのお宅でもこんな風に菓子を玄関先に置くスタイルだった

これにともない、我が家では複数のキャンディをさらに小分け袋に詰めるようにしていた。1つの小袋をつまみ上げれば、その中にはすでに複数のキャンディが詰まっている。こうすれば、不特定多数の子供たちあれこれ迷って不用意にバケツの中身をかき混ぜ、感染確率も低くなると考えたからだ。

中身はあえて日本を中心としたアジア系のキャンディで統一。「この家にはアジア人が住んでるぞ」と言っているようなものだけど、それでもなんとなくドラッグストアで叩き売りしているアメリカン・スイーツではなく、あえてこだわりたかったのだ。

小さいパウチにアジア各国の菓子を詰め込む(時々アメリカの菓子も混ざるよ)

ただし注意も必要だ。食物アレルギーのある子供を想定し、英語のお品書きも添える(漢字表記の原料名は読めないので)。菓子の種類、原料、そして原産国を明記。キャンディ、チョコレート、ガム、お煎餅など、1つの袋になるべく多彩なお菓子が入るように工夫する。せっかくの機会なのだ。どうせなら異国の味を楽しんでもらいたい。で、2020年のこの小袋スタイルが界隈で好評だったのか、バケツいっぱいに用意した小袋菓子はあっという間に消えてしまった。窓越しに子供たちがキャッキャと喜んで帰っていく姿を見ると、俄然翌年でのモチベーションが刺激された。

2021年もご近所さんの様子を見つつ、同じスタイルで菓子ブースを設置。量も前年度より増やした。「おひとりさま、ひとつまで」の札もたてた。が、どうも菓子の減りが尋常でない。不審に思って玄関近くの窓からチラリと覗いてみると、なんと子供ではなく大人がごっそりとバケツから菓子袋を持っていくではないか。まぁ、そのお菓子が最終的にご家庭のキッズの手に渡るのであればいいのだけど、なるほど、小袋スタイルも良し悪しだなぁと己の行き過ぎを反省したりした。

そして2022年。時代はすでにウィズ・コロナ。

ニューヨーク名物のハロウィーン・パレードも昨年から解禁しているし、きっとパレードには大勢の人々が押し寄せるだろう(パンデミック前、2000年のニューヨーク・ハロウィン・パレードの様子はこちらから)。各家庭でのお菓子の配布も全面的に従来方式に戻りそうな気配だ。とはいえ、我が家では今年も小袋スタイルを貫く予定だ。すでに近所のダイソーで小さな菓子袋を、アジア系スーパーでは安くて美味しいお菓子も用意した。あとは英語のお品書きと袋詰めの作業をするだけだ。

なんだかんだいっても、この季節、子供たちの喜ぶ顔を思い浮かべながら菓子の準備をするのは楽しい。

今日も31日に備えてせっせと菓子の袋づめをしながら、以前の日常が確実に戻ってきているのを実感した。


今年はもっともっと良いハロウィーンになりますように🎃

◆◆福島千里(ふくしま・ちさと)◆◆
1998年渡米。ライター&フォトグラファー。ニューヨーク州立大学写真科卒業後、「地球の歩き方ニューヨーク」など、ガイドブック各種で活動中。10年間のニューヨーク生活の後、都市とのほどよい距離感を求め燐州ニュージャージーへ。趣味は旅と料理と食べ歩き。園芸好きの夫と猫2匹暮らし

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