NYリレー小説プロジェクト
マイキーとイーストヴィレッジの住人たち
5人の走者によるリレー小説もついに最終話を迎えることになりました。最終話、物語の結末は各走者による個別の物語となります。マンハッタンのアパートに暮らすチヨと、アパートを根城とする小ネズミ・マイキーを中心に繰り広げられる群像劇。各走者の思い描く結末は、以下のリンク先から有料(一部無料)にてお読みいただけます。
福島 千里 編
らうす こんぶ 編
萩原 久代 編
河野 洋 編
阿部 良光 編
最終話(リレー小説・有料編): 萩原久代 編
「ティー・パーティー? ふん、冗談でしょ。」
ジョセフィーヌはムッとして、チヨからの招待状をキッチンのゴミ箱に捨てた。何故、チヨが住民を招待してパーティーなんてするんだ。きっと、不可解な老人の独り言の噂のイメージを払拭したいのだろう、魂胆は見えている、とジョセフィーヌは不快感を露わにした。
その時、ゴミ箱のうしろから一匹のネズミが飛び出した。ジョセフィーヌはイライラしながら足を引きずって追いかけ、杖を大きく振りかざした。普段なら超スピードで逃げるネズミは、ジョセフィーヌをキッと見上げて前足をあげて立ち上がり、チッチーと声を上げた。マイキーだった。
ジョセフィーヌと目が合い、マイキーはさらに大きくチッチーと鳴いた。
「生意気なネズミめ!」
彼女はもう一度勢いよく、マイキーの頭を目指して杖を振り落とした。
■
3月10日のティーパーティは、午後3時~6時の間のオープンハウスと案内を出した。ゲストはその時間帯にチヨのアパートに寄れば良い。食べるものは簡単にしようと思っていたが、久々に大勢の人が参加の返事をくれたので、チヨの献立の品目が増えた。準備を手伝おうと、エリカは午前中に仕事を終えて早めにアパートにやってきた。合鍵でアパートに入ると、キッチンにチヨを見つけた。チヨはいそいそとサラダに使う野菜を洗っていた。
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