2024/11/09 狐の提灯(きつねのちょうちん)


薄っすらとしたもやの中、そこだけが光っているように見える。

「ああいうのを狐の提灯って言うんだって」

そっと彼女はそう言った。寒さに震えながら少しだけその光を見て、彼女の足は早まった。寒すぎてここにいるのは耐えられない。私もそれに続いた。

家に帰りついてから、「狐って寒いのは平気なのかな」と聞いてみた。
「毛深いから、平気なんじゃない?」
適当な答えが返ってくる。
なんでも狐のせいにしたがるお国柄か……。ただそれを言うなら、私が住んでた国も何でも妖精のせいだったと思い出した。

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