2024/01/24 のこんの雪(のこんのゆき)
外は汗ばむくらいの暑さだというのに、その洞はまだ冬のように雪が残っていた。手を伸ばすとヒヤリとした空気に覆われる。真冬に荒れる日がなければここに雪は入らない。けれど入った雪は中々、溶けることはない。
私は小さな青い花を撫ぜる。花の名前は知らない。
雪がここに舞い込む年だけ、その花は咲く。その花を待っていたように、次の日には雪は消えてしまう。
雪が花を待っているのか、花が雪を待っているのかは知らない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?