2024/10/20 「頭髪の日」

「ハゲた」

そう呟くと「どこが?」と返ってきた。私はおでこを見せる。

「ほら、禿げた」
「どこ?」
「おでこ。この黒子は以前は毛の中だったの」

同居人は複雑な顔をする。
「それ、いつの話?」
「小学校入学の時」
ますます、眉をしかめてからため息をついた。
「それは、禿げたんじゃなくて、成長したってことだね」

不満気な顔の私に、同居人は絵を描いて説明してくれた。
「ほら、顔はどんどん変わるし、髪の生え際もどんどん上がるの。赤ん坊の時と同じ顔をしてたら怖いでしょ」
「違う。禿げた」

そう言い張る私に同居人は苦笑いをした。

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