2024/11/05 「縁結びの日」

コロコロと転がり落ちてきた五円玉を拾う。

「何してるの?」

同居人の手元にはたくさんの五円玉。そしてなぜか綺麗に五円玉の面が見えるように編んでいる。

「ご縁には五円玉のネックレスがいいって聞いたから」

何かが間違っている。悪友の一人がおかしなことを吹き込んだらしい。
「そういう迷信はさすがに無いかな。お賽銭……えっと。お布施、寄付に五円玉はいいかもしれないけど」

「寄付なのに5円だけ?それとも、五円玉で寄付なの?」
同居人が手を止めて、顔を上げた。
「お賽銭……。神社にある箱にコインを入れるの。ご縁が欲しいなら五円玉がいいよっていうわけ」

「なるほど、そういう話なんだ。五円玉が沢山連なってるネックレスも見せてもらったけど、あれは使ってない?」
五円玉のネックレス? ジョークグッズか何かだろうかと思っていたら、画像を見せてくる。

「これは五円玉じゃないし、ネックレスじゃない」

古銭を紐でひとまとめにしてあるだけの画像だけど、よく見るとAI画像なのかもしれない。こんな硬貨があっただろうか。

「じゃあ。やめる。五円玉はお賽銭箱だね」
紐を解きながら同居人がそう言った。これを本当に身に付けるつもりだったのだろうか?

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