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やっぱりホットにすればよかった

カフェでベストなメニューを注文するのが苦手だ。
10月に入り、少し涼しくなってきたけれど、長時間歩くとまだじんわりと汗をかく。

歩き疲れてカフェで休憩するとき、ほとんどの場合わたしはアイスコーヒーを頼む。注文するときにはまだ体温が高く、歩いた直後の熱が溜まっているから、迷いなくアイスを選ぶ。でももう涼しくなってきていることもあり、割とすぐに体の熱は引いていく。注文を終えたあたりからホットが飲みたくなってくる。

あぁ、やっぱりホットだったかも知れない。

注文し終えてからもまだ悩んでいるのだ。もう店員さんが作り始めていてキャンセルができない状況にも関わらず。

到着する頃には「やっぱりホットにすればよかった」が確定しているから、ちょっと悲しい気分でキンキンに冷えたアイスコーヒーを受け取る。これを毎回のように繰り返してしまう。

何度もこの状況を経験し、もう学んでいるはずなのに、注文するときの気分でしか注文することができない。ドリンクが届く頃には体は冷えているだろう。長居すればエアコンで寒くなるだろう。といったことが考えられない。

後先を考えて物事を進めるのが苦手なのだと思う。

私の性格を熟知している夫は「ほんまにアイスでいいの?」と聞いてくる。今アイスを飲みたいんだから、アイスでいいに決まっているじゃないか、と毎回本気で思う。そして到着した頃にホットが飲みたくなり、一口もらうということをしてしまう。注文後に交換してもらったこともある。もちろん、夫婦とはいえそんな図々しいことを自分から申し出たりはしない。ただ、顔に「ホットが飲みたい」と書いてあって、そんな顔を見ながらカフェでお喋りするのがしんどくなったために、交換した方が楽だと思ったのだろう。

お腹が空いているときにスーパーへ行くと「今ならなんでも食べられる」と無敵状態になり、お惣菜のパック寿司とカップ麺とアイスを買ってしまうのも辞めたい。

食べ始めると意外とすぐにお腹は膨れていくのだが、目の前にご馳走を並べられて我慢できるはずもなく、お腹いっぱいだと言いながら全てを完食する。自分の胃の容量がまだ分からないのだ。お腹が空いていると「胃が宇宙のようだ。今ならなんでも入りそう。」と思ってしまう。空腹でスーパーに行くのをやめるだけで随分痩せるかもしれないとも思うが、無敵状態だからこそカロリーも栄養も無視して楽しく選べているような気がするから、本当のところ辞めたいとは思っていない。

後先考えられる人のことが羨ましいけど、本能のまま食べ物を選ぶ人間らしい自分のことが、嫌いではない。


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