【政治系Vライター・土岐ながれの時事解説】衆議院選挙のポイントは?
衆議院選挙が10月28日(日)に行われますね。
国会は衆議院と参議院に分かれてるんだけど、衆議院はより大きな権限を持っていて、この選挙の結果で次の政権――だれが首相になるかが決まるんですね。
つまり、日本の未来がこの次の選挙で決まってしまうというわけです。
特に今回はものすごく大事な選挙なんです。
どうして今回の選挙は特別なのか?
それは「政権交代」の可能性があるからです。
今まで長年、政権の座についていたのは自民党と公明党(「自公政権」)でした。
それが今回の選挙で、ひょっとしたら変わるかもしれない。たとえ変わらなかったとしても、自民党と公明党の議席数(議員の数)が過半数を下回るかもしれない。
もしそうなったら政治の世界は激動です。
政治に興味がない、選挙に興味がないという人も、今回の選挙で何が争われえているのかをぜひ知っておいてほしい……。
というわけで、今回の衆議院選挙の絶対知っておきたいポイントを、まっったく政治がわからないという人にもわかりやすく解説します。
ぜひ選挙に行くときの参考にしてくださいね。
自民党議員の裏金問題と政治不信
さあ、まずは「裏金問題」です。
最初に、ポイントを3つあげておきます。
1・自民党の議員の多くが「裏金」を作っていた
2・自民党は今回の選挙で悪質な裏金議員を公認せず
3・ところが「無所属」の候補に2000万円を配っていた!?
自民党の「裏金問題」とは?
政治家は資金を集めるために、何かと「パーティ」というのを行うんですね。
もちろん、パーティをやること自体は合法ですが、ここで政治資金として記録されていない、裏金作りが行われていたことが問題になりました。
この裏金がどう使われていたのかというのはよくわかっていませんが、本来はオープンでなければいけない政治資金が裏で何かに使われていたというだけでも批判に値するわけです。
そもそも裏金を作るというのは「政治資金規正法」という法律に違反しています。
それで特に悪質とされた議員の秘書は実際に逮捕されました。
本当なら裏金を受け取った議員本人が全員逮捕されないとおかしいのですが、なぜかそうはなりませんでした。
「裏金議員」は自民党の公認を外されたけど……
自民党の中でもこの裏金は問題とされていて、安倍派などの派閥が解散したり、今の首相・石破茂は裏金議員の多くを今回の選挙で自民党の候補としては認めないという決定をしたりしました。
裏金議員は「無所属」という立場で今回の衆院選に出ることになったわけです。
自民党は彼らを切り離すことで、クリーンなイメージをアピールしてこの選挙にのぞみました。
裏金議員たちは今回の選挙に出て勝てば、「みそぎが済んだ」(罪は消えた)として自民党に復活すると思われますが、公認を得られていないということで厳しい選挙戦となっています。
ところが……!
裏金議員に2000万円が!?
共産党の新聞『しんぶん赤旗』がとんでもないスクープを出してきました。
無所属で選挙に出馬したはずの候補の支部に、自民党本部が2000万円を払っていたというのです。このお金は政党助成金、つまり元は国民の税金です。
「無所属」とは名ばかりで、実際には自民党公認の候補と何も変わらない扱いを受けていたのですね。
報道が出てから「2000万円を返金する」などと言っている人もいますが、後の祭り。
石破茂首相は自民党の中でもはしっこのほうにいて、安倍派と対立していた人で、だからこそ裏金のような問題も解決してくれると期待されていたのですが、結局は何も変わらないじゃないか、と批判されています。
長くなりましたが、「それでも自民党を信頼しますか?」というのが今回の衆議院選挙の大きなテーマとなっているのですね。
みんな生活が苦しい~経済問題
さて、政策というところでいうと、今回の選挙で争点となっているのは、もちろん「経済問題」です。
ここ数年、モノの値段は何もかも上がっていますよね。
このように、何もかもが値上げしている状態を「インフレ」と言います。
でも、給料はほんのちょっとしか上がっていないとか、ほとんど変わっていないという人が多いと思います。
つまり、給料アップが物価高に追いついていないんですね。
経済評論家はいろんなことを言いますが、もう実感として値上げ、値上げで庶民の生活が苦しくなっているのはだれの目にも明らかなので、なんとかしなきゃいけない。
そこで今回の選挙では経済をどうするかというのが待ったなしのテーマになっているわけです。
ここでもポイントを3つあげておきます
1・自民党・公明党は給付金
2・立憲民主党は給付付き税額控除
3・そのほかの野党は消費減税
自民党・公明党の与党(いま政権を握っている政党)は、「低所得者への給付金」を公約の目玉にしています。
値上げで影響を大きいのは低所得者(給料が低い人)なので、そういう人たちを対象にお金を配ろうということですね。
立憲民主党は「給付付き税額控除」を公約にしています。
ちょっとむずかしいですけど、中所得者(まあまあ普通の稼ぎがある人たち)に向けて消費税で払った半分の額の所得税を減らしますよ、ということです。
そして、低所得者(お金がない人たち)は払っている所得税が低いので、お金を出しましょうというわけです。
そのほかの野党は「消費税減税」を公約にしています。
日本維新の会は消費税8%。
共産党は消費税廃止を目指していますが、当面は5%に減税。
国民民主党は消費税5%。
れいわ新選組は消費税廃止、当面1人10万円を年4回給付。
社民党は消費税を3年間ゼロ。
「給付金」というと選挙目当てにお金をバラまくという批判がどうしてもありますし、「給付付き税額控除」はどれぐらい効果があるのか、「消費税減税」はみんな喜びますが果たして実行できるのか……?
あなたはどの政党の公約がいいと思いますか?
「憲法改正」すべきかどうか?
さて、今回の選挙であまり報道されていないけど、実はとっても大きなテーマがあります。
それが「憲法改正」です。
憲法は国の権力が暴走しないように歯止めをかけるもので、言ってみれば国民から国への命令書のようなものです。
日本国憲法は1947年に施行されてから、一度も改正されたことがありません。
憲法を変えることに積極的な政党は、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、参政党です。
特に自民党は憲法を変えることを悲願としていて、自衛隊を憲法に明記するとか、緊急事態条項(緊急事態が起きたときに、国会を通さずに法律を作ったりとか、国会議員の任期を延長したりする)を公約にしています。
これに対して、「憲法改正」に反対しているのが共産党、れいわ新選組、社民党です。(立憲民主党はあいまいな感じ)
自民党などが狙う「憲法改正」は、自衛隊や政府の力を強めるもので、国民が自衛隊や政府の暴走に歯止めをかけられなくなるという心配をしています。
もし、今回の選挙で自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、参政党の議員の数が「憲法改正」の発議に必要な3分の2を超えると、憲法を変える可能性が出てきます。
そこで、衆議院の3分の2である310議席を改憲勢力がとれるかどうかがポイントになっているんですね。
今回の選挙は自民・公明の「自公政権」が過半数の議席をとれるかどうかが注目されますが、この「3分の2=310議席」という数字もぜひ覚えておいてください。
個人的には、ここで憲法を護る勢力が3分の1以上を確保できないと、日本の将来はかなり厳しいものになるのではないかと思いますが、それはまた別の機会に。
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