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-ニュータイプ タケル編-


西暦20XX年 4月
ー職業選択所ー

コンピューターI
「職業コースをお選びください
①政治コース
②経済コース
③法律コース」

タケル「・・・
どのコースが一番就職しやすいですか」

Ⅰ「あなたの経歴からすると
①か③がオススメです」

タケル「・・・
ちょっと席を外します」


タケル
Y大学4年生 22歳 法学部在籍。
大学3年生の時に父親が倒れる。
下には高校3年生の妹、
中学2年生の弟がいて、
もう家に経済的負担はかけられない状況がある。


タケルはふと
空を眺めた。
タケルの面持ちとは裏腹に、
澄み切った青空がどこまでも続いている。


高校3年生の時に
なんとなく受験勉強を始めて
なんとなく法学部に入ったが、
大学生活が始まって間もなく
教養科目の環境学の授業を受け、
「循環型社会の構築」
について興味をもつようになった。

それ以来、
環境学と法律について
ゼミでも精力的に活動を続けた。

実のところ
活動を続けるうちに、
大学院にも進学して
国際環境により触れるために
海外で勉強したいと思うようになった。

しかし、
昨年3年次
大黒柱の父親が病に倒れ、
いまだに病床に伏している状態である。
母親はパートを続けているが、
無理はかけられそうにない。

「とりあえず就職しよう」

そう思って、
タケルはエレベーターに乗って
25階の屋上から
下の階へ降りようとした。



つぎの瞬間、

ドドドド!!!!
と地鳴りがはじまり、

ガタガタガタガタ!!!!
バタン!!
ドゴン!! 
ガチャン!!   ぐちゃ

コンピューター群
「システムエラー システムエラー
対処できません
シャットダウンします」

・・・・・・

後からわかったことだが、
ヤマト国で最大の火山が
噴火活動を始めてしまい、
国の首都機能がマヒしてしまったのである。


タケルはなんとか
職業選択所を脱出したが、
外は噴煙でいっぱいになり
視界もままならない状況であった。


それでも
タケルは家へ急いだ。

もちろん
家族を守るためだ。

そもそも
全員無事であるかどうかも
わからない。

だけれども、
いま
彼にできるのは
走ることだけだ。


果たして、
タケルは
自分の環境を
どう形づくるのか。


噴煙と煤煙の中に
彼の姿は
消えていった。





以上

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