-ヤング キング-
タカシは
他校の生徒といざこざを起こし、
謹慎処分中であった。
そこに、
自分とは違う中学校へ進んだ
ジュンペイがやってきた。
J「よー、元気かい」
T「ちょっと腹が立って
やっちゃったんだ。
ところで、なんの用だよ」
J「この本は学校の読書感想文で
仕方なく読んだ本なんだけど、
面白いから読んでみてよ」
タカシとジュンペイは
久しぶりの再会だった。
家はそう遠くないものの、
学区が異なり中学校も違うので
なかなか会うこともない。
J「じゃあね、また」
T「おう。またね」
タカシの心境は複雑だった。
ジュンペイとは学力が同じレベルだ
と思っていたが、
中学に入ってからは
タカシが学校進度から遅れはじめ、
地元のワルともつるむようになってしまった。
そういう経緯があり、
今回の暴行事件を起こしてしまったのもある。
「あいつは何しに来たんだろう。
なんか上からって感じだよな」
と思いつつ内心嬉しい気持ちもあった。
なんだかんだいって
2年振りにわざわざ
会いに来てくれたわけだから。
「ふぅー、、」
とため息をついてから、
自室のある2階から
1階のリビングへ下りてきた。
窓の外は、
タカシの面持ちとは裏腹に
明るく晴れている。
その時ちょうど、
「ピンポーン!」
と玄関のチャイムが鳴った。
「ん、、誰だろうか」
タカシはそう思って
玄関の扉を開けた。
地元の少年のWだ。
W「よう、タカシ。
ちょっと遊びに行こうぜ」
T「・・・
いまは停学処分中だぜ。
もうちょっと経ってからにしてくれよ」
W「そうかたいこと言うなよ。行くぞ」
タカシは仕方なくついていった。
人に優しく、
断れないのが彼の弱みだった。
数ヵ月後、
彼は私立中学校を退学することになる。
ジュンペイから借りた文庫本は、
いまなお机の一番下の引き出しに
眠ったままである。
以上
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