4日目
23時28分。公園にきている。今日は朝から嫌な連絡が入った。流行病のせいで、ゴールデンウィークまでバイトの出勤がなくなってしまったのだ。ただでさえ気怠い朝にこんな連絡。今月はなんとかしのげるが、来月はどうやって生きていけばいいのだ。携帯料金すら払えるかもわからない。あぁ、と感嘆の溜息を漏らしながら、よだれの臭いがする毛布にムスッと顔を埋める。なかなか毛布に収まってくれない右足に少しだけいらいらした。もうこのまま動きたくないと思った。動く理由すら、なかった。ちゅんちゅんと楽しげに鳴く小鳥の声がうっとおしかった。往来の生活音が、鼓膜をチクチクと、意地悪くつついた。
次に目を覚ました時には太陽はてっぺんまでのぼっていた。
結局その後はずっとベッドの上でスマートフォンをいじってだらだらと過ごした。誰にも会わずにたった一人、寝床にこもりっきり。これこそ病人だと思うと、少し可笑しかったけど笑う気力すら出ない。体力はありあまっているのだけれど。
そうしてやっと夜がきて、公園にきた。さながらナマケモノのようだ。ただ公園に行くのはなんだか物足りないので、途中のスーパーで缶チューハイをかったのだけれど、品出しをしたばかりなのか、嫌にぬるい。とことん最悪な一日だなと思う。雨は降っていないが、月は出ておらず、星は一つしかみえない。なんだかもう、それでもよかった。というかそのほうがいいのかもしれない。光があまりにも多いと、人間は気が滅入る。
そんなことをこの日記に書きながら、ふと顔を上げる。遠くの森から湯気のように沸き上がった薄い雲がそこら中を埋め尽くしていて、たった一つの僕の星は隠れてしまっていた。もしかしたら蒸発してしまったのかもしれない。干上がった星の、ごつごつとした表面を思ってみる。まるで土のついたじゃがいもみたいな、湯気のたった肉団子みたいな、キツネ色を通り越したチーズボールフライみたいな。
そんな妄想を頭の中で描きながら、空きっ腹に缶チューハイを流し込む。胃がぐぐぐっと鈍く鳴いた。やっぱりぬるい。