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差し迫るインフレ恐怖と格差社会

定年前に退職して感じたこと


25年勤めた会社を退職することにした。人間関係におけるストレスは特になかったのだが、健康寿命というのを考えると自分の時間=命をこれ以上浪費したくないという気持ちが強くなった。定年まで6年残っているが決めたのだ。

45歳定年説というのがまことしやかに囁かれている。これは「20年間一つの仕事を続けても何も偉くないんだよ」「ロボットにとって変わられる業務なんかいつまでもするな!」と言われている気がした。だから特に感慨深いものはなく、このような風潮が定年数年前の私に背中を押してくれたのもある。終身雇用で守られながら勤続年数を誇るのはなんの自慢にもならなくなった。

正直にいうと、少しの経済的不安と社会との隔絶の恐怖はある。だが会社員時代での人間関係の拘束がなくなったストレスは大きい。まず、孤独を宝物にすることから始めないと・・・。

「臆病者のための億万長者入門」(橘玲著)を読んで

 25年在籍しながらも辞職が頭によぎったのは退職届を出す2ヶ月前でしかない。それまで全然やめようという気もなかった。それができたのは、財テクによるものだ。高学歴ではないから年収(フロー)には難があったが。
 40を少し超えたところから株式投資を始めたが、思っている以上に出来は良かった。もちろん始めてからの数年は含み益が出ていることに気づかないのだが、金融資産が1000万を超えたあたりからそれが指数関数的に上昇するのが実感できた。特に、トレードの才能があったわけでもない。

 人並み以上に蓄積できたのは

   ① 始めた時期がリーマンショックという大暴落後
   ②素人でも臆することなく投資できるインデックスファンド(ETF)  

という2つの要素が重なったからだ。ETFとの出会いはノンフィクション作家の橘玲さんの「億万長者になるのは簡単だ」的な胡散臭いタイトルの本が腑に落ちたものだ。中学生なら分かる

年収 = (所得−支出)× 運用利回り

という公式を執拗に述べている。中小企業のサラリーマンにとってカッコ内をプラスにし続けることは大前提となるのだが、現在はまだ私が若かりし40歳の時の状況とは異なる。総務省のデーターによると、年間の(所得−支出)がゼロまたは少しマイナスが数年続いているのではないか。
 無論、大企業サラリーマンでも誇示するための浪費をする人がいるし、派遣社員なのにストレス解消からギャンブルにのめり込む人もいる。運用利回りなど眼中にない人のだ。他方、どんなに賢明に言われるがままの優等生サラリーマンをしていてもどこかで疲弊してしまう。無責任かもしれないが45歳定年制は中堅サラリーマンも前向きに考えないといけないと思う。

差し迫ってくるインフレ恐怖

 席は置いているといえ、退職届を提出してからはインフレに敏感になってきた。ガソリンを給油しに行くとレギュラーが1リットル166円になっていた。調べてみたところ、過去最高は185.1円だが、原油価格が1バレル=140ドルを超えていたのに今年は1バレルが80ドル程度で推移している。

 では、なぜこんなに急上昇しているの?

 ずばり、円安ということ。

私も20代、30代で会社に世話になっていた時は真剣に考えてもみなかったが、日本は資源不足、社会保障費の逼迫、そして敗戦国という事実など本当にヤバいのだ。安心するためには上の公式にもう一度目を凝らそう。

年収 = (所得−支出)× 運用利回り

大事なのは
① 所得をあげる
② 節約をする
③ 運用利回りをあげる

に尽きる。元も子もないが、私が資産運用について語る時はこの3つの点からになるだろう。

広がる格差社会

 つくづくサラリーマン一本で行くことのリスクは高まってきていると思う。税・社会保障の値上げ、終身雇用の制度疲労、長時間労働による自分の可能性が奪われることの無自覚などなど。たとえ、大企業のエリート社員といえども、そこに依存するよりそこを利用する気持ちがないと搾取される。先にあげた橘玲さんは「国に頼るより国を利用せよ」と言ってマイクロ法人の立ち上げを推奨している(「貧乏はお金持ち 雇われない生き方で格差社会を逆転する」を参照)。

  副業禁止をマジメに受け入れ、額に汗して仕事をこなすのが美徳としていた40代、50代世代の今は悲惨としか言えないデーターを残して終わりにする(特に単身世帯のヤバさ)。


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