思いつきから作品になるまで
本年もよろしくお願い致します。
今回は最初の思いつきから作品になっていくまでについて書いてみます。
2018年に上演した『12時17分、土浦行き』を例にしますと、この年の1月19日にJR常磐線の車内で妊娠中の女性が出産したというニュースがありました。
https://www.news24.jp/articles/2018/01/19/07383382.html
常磐線を主な交通手段としている身として、このネタを使って演劇を作りたいという思いが芽生えました。
(このニュースの2日後の1月21日にゲストとして呼んで頂いた玉田企画『あの日々の話』のアフタートークでこの話をした記憶があります)
2月に行った根本宗子さんとの共同公演を終えた3月、僕は一本の映画を見ました。
クリント・イーストウッド監督作の『15時17分、パリ行き』です。
https://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/
電車の中で起こった実話を元にして作られたこの映画を見ながら、僕の頭の中では常磐線で起こったあのニュースが結びつき、TOHOシネマズおおたかの森を出るころには、次のネタはコレで行こうと心に決めました。
当該の常磐線について調べを進めました。
柏駅での出産時刻から逆算すると、12時17分品川発〜土浦行きの上野東京ラインであることがわかりました。
『12時17分、土浦行き』だったのです。
僕は、台本を書き出す前に必ずその公演のメインとなる画像を作ります。
チラシになったりTwitterで告知するのに使用する画像です。
(『東京オリンピック』の画像では、公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 マーケティング局 ブランド管理部さんから直々に削除の指令を頂きました)
『15時17分、パリ行き』の画像をじっと見つめました。
そして、『5』をひっくり返すと『2』に見えることに気づき、この画像を作りました。
こういう偶然が重なるときの公演というのは、演劇の神様が微笑んでくれているときで大抵うまくことが運びます。
昨年末に上演した『Aー②活動の継続 再開のための公演』では、ミヤシタパークをネタにしたシーンでラブレターズの塚本さんが衣装として着ていた西武のユニフォームが、偶然にも元西武の宮下投手のものだったのです。
(中日在籍時に起こしたクロマティとの乱闘で知られる宮下昌己氏)
塚本さんに「ミヤシタパークだから宮下のユニフォームなんですか?」と聞かれて僕も初めて気がつきました。
僕はヴィンテージスポーツウエアの収集が趣味なのですが、手が届く価格で落札できた西武の実使用ユニフォームがたまたまそれだっただけで、それを塚本さんに着てもらったのもたまたまサイズ感などが合ったからというだけで、そんな狙いは全くありませんでした。
このように、演劇の神様が起こしてくれたとしか思えないような偶然がたまに起こります。
『12時17分、土浦行き』は、平日の4ステージのみということでご覧になっていない方がほとんどの公演でしたが、個人的には好きな台本なのでこれからnoteで公開して行こうと思っています。