国会図書館で「喰いだおれ野郎」を読む




適当な前書き


 この世にイカレた展開の漫画は数あれど、そういう漫画の中で料理漫画というジャンルとして括ると、多分必ず名前の挙がりそうな漫画が一つあります。

『喰いだおれ野郎』

 作者は「ゆでたまご」。
キン肉マンの作者として名が知られている漫画家コンビの名前です。
キン肉マンでもそうですけど、トンデモ展開を描写することでも有名であり、そのコンビがというか、ゆでたまご先生が描いたトンデモ料理漫画「グルマンくん(1994年~1996年)」があり、それのプロトタイプともいえる作品が読み切り「喰いだおれ野郎(1988年)」です。

 ゆで先生自体メジャーでもあるので、この辺の説明は不要かもしれませんが(作品自体のレビューも検索すればいろいろ出てくるくらいですし)、まあいちおうnote記事ではあるので、それらしく書き出してはおきます。


 で、この「喰いだおれ野郎」ですけど、一応短編集として単行本化されて収録はされてはいるものの、現在では絶版なのかまずそこらの本屋・古本屋で見かける事は無く、電子書籍化もされていません。

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 グルマンくんの方は長年文庫化などもなく角川の方では絶版状態でしたが、2015年に集英社から電子書籍化され、トンデモな内容にゆでたまご先生の漫画らしさを味わえる機会が増えるようになりました。

 しかし、グルマンくんの話題の時に名前が挙がるであろう喰いだおれ野郎の方は現状閲覧困難な状況になっている、というわけです。絶版でモノがなければ読むのもできない。
でも、ちょっと手間ではあるものの、合法的に喰いだおれ野郎を読む方法があります。

それは国会図書館に行くことです。



国会図書館の端末を利用してNDLデジタルコレクションで閲覧できるフレッシュジャンプを読む


 つまり、こういうことです。

集英社 [編]『フレッシュジャンプ』1(1)(1),集英社,1983-10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1831371 (参照 2024-07-25)
フレッシュジャンプ 1(1)(1) - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)

 国会図書館では様々な所蔵資料を少しずつデジタル化しており、デジタル化されたものは国会図書館の端末で(資料によっては登録者であれば自宅や他からインターネットを利用して)閲覧でき、複写もそれなりに容易に頼む事ができます。
そういうのの中で、喰いだおれ野郎が掲載されたフレッシュジャンプもデジタル化されたので、NDL端末で読むというのができるようになっています、現在。
(スキャンに関しては、販売されてる電子書籍ほどしっかりしてるものではなく、とりあえず読めるというものではありますが)

集英社 [編]『フレッシュジャンプ』6(8)(60),集英社,1988-08. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430 (参照 2024-07-25)

https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/101
(カラー扉)
その後ファミコン版拉麺男の攻略カラー記事ページが続く

https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/105
右ページがカラー広告ページ。ここから本編。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/120
本編最終ページ
もし複写して読みたい、という場合は「101,105-120」みたいな指定をするといいかもしれません。
人によっては101のみカラーとかで。まあそこはお好みで。

◆ついにやったぞ、グルメ漫画!! 構想20年の作品がかけて、うれしかったぜ!!<たまご>

集英社 [編]『フレッシュジャンプ』6(8)(60),集英社,1988-08. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430 (参照 2024-07-25)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/281

 また、目次コメントの喰いだおれ野郎のとこでこんなこと書いているのも実に「ゆで」先生って感じですよね、いろんな意味で。

雑誌をそのまま取り込んであるのでこういうのも読めるののがNDLデジタルコレクションなわけです。

 ちょっと手間暇かけても読みたいのであれば行こう国会図書館、と。


おまけ

 国会図書館で読めて複写もできるとはいえ、それをそのままネットにあげたりするようなアレはまあ色々ナニではあるので(既にいっぱいあるレビューや紹介サイト等で画像と共にかかれてたりするのはあるでしょうしみたいな思いもあるので)
文字でまあちょっとした漫画紹介でも書いておこうかと。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/101

 カラー扉ページ。
『生まれも育ちも喰いだおれ大阪!!食通No.1ゆでたまご先生のグルメコミック!!』という煽りがまあなんともという感じ。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/105

 右ページがいわゆるトレーニング器具のカラー広告で、左本編ページが『これが天才グルメマン マスヒロくんの秘密だ!!』のページ。
ネットで画像いろいろ流れてたりしてるであろうあのアレから始まっているわけです。
右ページの広告との差異を思うと、それすらも面白いかもしれません。


https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/106

 右ページ、『飯盛小学校』という校舎が描かれ、授業風景の描写。
ここはまだ普通。
左ページ、教科書で何かを隠してるようなマスヒロくんが出てきたと思ったら、とても教科書で隠し切れないサイズの串刺しのハンバーガーを食べているという絵。
普通に見せかけていっきにトップギアを入れるゆで漫画。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/107

 ヒロインの田部代にハンバーガーを『どこで買ったの』と聞かれて、店売りのハンバーガーを貶してから自分で作ったと言って、大ゴマで調理シーンが描かれてます。
ゆでタッチで描かれるとそういうのすらいろいろシュールに見えてしまう。


https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/108

 田部代の言う『贅沢の極みのハンバーガー』の説明が終わったところに、ライバルな感じである三ツ星吟味くんが出てきます。
そんなものよりとフランスレストランの特別招待券を差し出す吟味くん。
そして『三ツ星くんのおうちってフランス料理のレストランをやってたわよね』と説明してくれる田部代ちゃん。


https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/109

 吟味にケチをつけるマスヒロ。
それに怒った吟味がマスヒロを引っぱたいて、串刺しバーガーが床に落ちる。
そこで勝負だという流れになりかけたところで、チャイムがなって、明日は林間学校だと先生が言う、流れ。


https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/110

 林間学校について談笑するアシ画クラスメイトに弁当を忘れるなという先生。
そこで二人は弁当の単語から『弁当デスマッチ』をすることを決め、握手をする。


https://dl.ndl.go.jp/pid/1831430/1/111

 三ツ星宅で、設計図どおり作ってくれとコックたちに命令する吟味。
『同じく午前2時 マスヒロ宅では…』という語りと共に丼の形?というか何かの器の形をしたドーム的な家が描かれてます。
そこで寝てないマスヒロを心配する母と作業をしているマスヒロ。
『もう少しでエセ・グルメ三ツ星打倒のための弁当ができるんだ』の何気ないセリフ回しもいかにもなゆで漫画。


 もうオチまでゆで漫画を読んでそれを言語化する力ないので、ここで紹介的なのはギブアップ。
なんていうかまあ、読んでください。というかほかのレビューサイトだの呼んだ方がいいです、話の流れについては。
読み切り一作でこれなんだから、それらがまとまった単行本でとなるとまあそりゃアレなんですよねと。
もうごにゃごにゃ。
いろいろ溶けてます、もう。


おまけのおまけ

 喰いだおれ野郎も読み切りであるとはいえ、ただ載っていたというだけでなく、予告だとかにも名前が載っていたりしたんですよ。当たり前ですが。
そのへんもちょっと書いとく。

集英社 [編]『フレッシュジャンプ』6(7)(59),集英社,1988-07. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1831429 (参照 2024-08-03)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1831429/1/85

 フレッシュジャンプ7月号に掲載されてる次号予告ページ。
『ゆでたまご2本立て』や『夏休みスペシャル読み切り32P』などの煽りと共に主人公のマスヒロのカットが大きく掲載。
予告から既に『激食グルメ・デスマッチ』なんて書いてあります。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1831429/1/141

他ページの予告もあったりはするので、もうNDLデジコレで「喰いだおれ野郎」って検索して、それで確認とかしてくださいなと。


集英社 [編]『Hobby's jump』15,集英社,1988-08. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1852372 (参照 2024-08-03)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1852372/1/107

 ホビージャンプの方のフレッシュジャンプ広告。
こっちではあまり大きくはないマスヒロのカット。
『食通男(グルメマン)が究極メニューでグルメデスマッチ!!』と煽りが書かれている。


小学六年生 41(6) - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)

小学五年生 41(6) - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)

 学年誌でのフレッシュジャンプ柱広告。
何かしらの煽りはかかれてないものの、がんばれキッカーズと共にマスヒロくんのカットがある小学五年生のは、なんというか時事性というか、雑誌だとかの妙であるよなみたいには感じられます。


フレッシュジャンプ 6(10)(62) - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)

 アンケートはがきにどれがよかったかと選択肢に名前のある「喰いだおれ野郎」。
じっさいどんなものだったやら。


 とりあえず検索したかぎりであるのはこれぐらい。
あとはもうしらんしらん。


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