対話型組織開発への関心の高まり

「対話型組織開発」著者 ジャルヴァース・ブッシュ氏が再来日する。
今回は、「対話型組織開発」の中村和彦氏の訳者まえがきから、特に私が共感できる部分を紹介したい。

ここ数年、日本において組織開発への関心が高まっている。
1990年以降、日本企業は組織のハードな側面に変革を行ってきたが、それだけではうまく機能しなかった。
組織のハードな側面とは、組織の中で明文化できるものだ。
たとえば、戦略、組織の構造、制度、仕組み、マニュアル化された仕事の手順などである。
そうした経験と反省を踏まえて、2000年以降は、組織の人間的側面(ソフトな側面)が注目されるようになった。
まず、コーチング、ファシリテーションなどの導入の流れがあった。
その先に、2010年以降、組織開発に注目が集まっている。
・組織の人間的側面のアプローチの重要性、
・組織全体へのアプローチの必要性
この二つが、組織開発が注目されている大きな理由だ。
そして組織開発には大きく2つの種類に分類できる。
診断型組織開発と対話型組織開発だ。

書籍「対話型組織開発」訳者まえがき 中村和彦氏 を抜粋・編集

診断型組織開発は、アセスメントやインタビューの結果を整理し、
フィードバックする取り組み。
最近よく従業員サーベイなど見かけますが、あれもその一環といえそうですね。

対話型組織開発については、立教大学中原研究室のブログの以下2つの説明がわかりやすいと感じました。

対話型組織開発とは
人々の語り方や会話のパターンを「変革すること」を通して、
組織をも「変革すること」ができるものだという考え方に基づいている

対話型組織開発とは「問うことによる組織変革」

そして、前書きの中で東洋思想と西洋思想についてもふれられています。

組織開発の研究科 ロバート・マーシャク氏は、論文の中で、「西洋の変化のモデルは直線的で、東洋の変化のモデルは円環型である」と述べている。

書籍「対話型組織開発」訳者まえがき 中村和彦氏 を抜粋・編集

まさに!
組織を直線的に、機械的にとらえ、問題が起きたら「使えない」社員を「切り捨てる」「交換する」のではなく。
組織を円環として、システムとしてとらえ、問題が起きたらその事象の根本原因を対話によって探る。
(※システム:相互作用する複合体のことを指します。国、会社、部門、個人も1つのシステムであるといえる。)
私は、問題解決の方法も対話型にシフトするほうがいいのになと日々感じています。
組織や問題を 円環、システムとしてとらえるほうが好きです。
そのほうが、その場にいる社員一人一人が楽しく、生き生きと、自分の能力を発揮し、活動できる。それは組織の生産性に直結すると思うからです。
私は東洋思想も好きですが、東洋思想と組織開発、共通点が多いと感じます。
ちなみに、「切り捨てる」というテーマに切り込んでいるのが劇場版モノノ怪 唐傘 でした。

また、対話型組織開発に最も重要なのはマインドセットだ。といいます。

マネージャーのマインドセット
過去の経験を用いた問題解決には限界がある。
複雑で予測不能であり、自分たちの前提や考えについて、対話を通して探求し、見直し、他者と協働することでことで新しいアイデアや価値を創発することが重要だ。
そのためには、マネージャーがコントロールするのではなく、職場のメンバーとともに自分たちの見方や前提について対話することへのシフトが必要。

書籍「対話型組織開発」訳者まえがき 中村和彦氏 を抜粋・編集

以上、訳者まえがきの中で、私が気に入っている部分のご紹介でした。
私はマーケティングを生業にしていますが、マーケティングにおいても、組織開発要素は必須だと思います。


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