メタ認知×システム思考×リベラルアーツによる変革リーダーシップ育成

DBIC(デジタルビジネス・イノベーションセンター)の、UNLOCK QUESTを2024年上期、コーチとして伴走しました。

UNLOCK QUESTは、個々人の既成概念への囚われを解放し、変革へのマインドセットを形成することを目的としています。
UNLOCK QUESTは、組織変革に立ち向かうエグゼクティブやリーダーの皆さんにぜひ受けていただきたいプログラムです。
今回は、その内容をご紹介。

組織変革の初手は「個人」である理由

なぜ、組織変革のためのプログラムジャーニーの初手で、個人に焦点をあてているのか。その理由は以下2つになります。

1 自身の深くから湧き出る「私は何をなすのか」は困難な変革を進める原動力になること
2 個人と組織はフラクタルの関係にあり、個人の探求で育まれる「メタ認知能力」は現組織の構造上の問題・課題を探求する際にも有効であること

個人的には、
・自身を含む状況を俯瞰できる「メタ認知能力」
・システムを俯瞰できるツール「システム思考」
・物事をとらえ、考える際の基準値となりうる「リベラルアーツ」
を身に着けることで、仕事のとらえ方・やり方が大きく変わる。
まさにVUCAの時代に有効な講座だと感じています。

明確なwillを持つ個人が、組織のwillとの接点を探る。
そこが変革の軸・原動力となる。
個人のwillがなぜ重要なのか、素晴らしいのか。それは、受講された皆さんが作成された以下動画を見ていただき何か伝わるといいなと思います。

以下では各回のサマリを紹介します。

UNLOCK QUEST各回の内容サマリ

第1回 「Kick Off」

プログラムの参加メンバーが初めて顔を合わせる初回は、
お互いの受講背景・意図を共有し、日本社会は過去どんな遷移があったのか、この先どのような変化が予想されるか、を対話しました。
この対話により、日本社会および日本企業が抱えている課題について、腹落ちした感覚を持つことを狙いとしています。
ここから、約3か月にわたる「個の変革」の旅が始まります。

第2回 「LXとは何か?」

今自身がおかれている状況、これから目指したい世界を、ワークを通じて表現し、対話を重ねました。五感を活用したワークを活用することで、自身の深くにアクセスすることが可能です。
また、「世の中で起きている複雑な問題」に目を向けます。これにより、「既成概念にとらわれ思考停止している」私たちのあり方と「社会で起きている複雑な問題」が実は紐づいているという気づきを得ます。
さらに、自身に貼っている「レッテル」(=思い込み)の探索を行いました。
第2回では、現状のネガティブな面を深く掘り下げました。ネガティブを知ることは、この先の探求の原動力となります。

第3回 「なぜLXが必要なのか?」

2日間のキャンプ・セッションは、天気にも恵まれました。
気持ちの良い自然の中で、共通体験と対話により参加者自身の探求と、参加者同士の相互理解を深めました。
初日は、日常業務から離れた環境で、「この自然に対し私たちはどう影響を与えているか」という問いを出発点に対話を重ね「私たちは本当に変革をしたいのか」「私たちにとって仕事とは何か?人生とは何か?」本質的な問いと向き合う時間を持ちました。
翌朝は、すがすがしい空気の中、第2回で発見した「レッテル」を手放し、「どうありたいか」を再認識する静かな時間を持ちました。
日常の環境では、限られた思考の中での発想にとどまりがちですが、日常業務から離れた自然環境のなかで、自身の根源からの「私は何をなすのか」に気づくことを狙いとしています。

第5回 チームインサイト(アート・シンキング)

担当コーチ:岩井 秀樹(DBICプログラム・ファシリテーター)
アート思考、デザイン思考について触れました。
そのうえで、デザイン思考とも相性が良く、社会課題など複雑な課題の解決に有効な「システム思考」について、実習も交え学びました。
システムというとITをイメージしがちですが、そうではなく、
・ ものごとの因果関係、関連性をとらえること
・ 表面に現れている事象ではなく、その根本原因を探ること
の大切さについて実習も交え学びました。
全体の俯瞰により、最も効果的なポイント(ティッピングポイント)を見極めたアプローチが可能になります。

第6回 リベラルアーツ

担当コーチ:島崎 理一(DBICディレクター)
第4回まで、自分自身について新たな「気づき」を得る機会でした。
一方で、気づきを得るには、関連する情報を正しく知っていることが大切になります。
このような文脈から、なぜ今リベラルアーツが必要とされているのか整理したうえで、これまでの哲学者が、自分や世界をどうとらえてきているのか、哲学の系譜を線として学びました。

第7回 プラクティカルマネジメント

担当コーチ: 島崎 理一(DBICディレクター)
マネジメントとは正しいことをすることですが、正しく行うには、自ら考えて判断することが必要となります。
適切な判断のために、把握しておくべき情報(マクロ経済、日本経済の仕組みなど)をどの程度把握しているか。
必要な情報を把握していると、世の中をどうとらえることができるのかについて学びました。

第6回、第7回で島崎さんから課された課題では、
・ 正しい情報を知っていることは、現実の読み解きに有効ということ、
・ 知らないと正しく読み解けないこともある、ということ
を具体事例を通じ学びました。

第8回 システム・ファシリテーション

担当コーチ:渋谷 健(DBICディレクター)
自分は、「何を大切にしているか」、「どんな世の中を望むのか」、つまり前提条件、立ち位置を確認したうえで、
そのために、「何を実現するのか」、「なぜそれを実現するのか」、「実現の際の課題は何か」向かう先を明らかにします。
ここで整理したものが、UNLOCK終了後に個々人の向かう道しるべになります。
これで完成ではなく、都度見直しアップデートをかけることが重要です。

第9回 デジタル・ストーリーテリング

担当コーチ:渋谷 健(DBICディレクター) / 石橋 雄司(DBICコーチ)
自分自身の内面をストーリーとして書き上げ、それをショートフィルムのように動画として仕上げていくアプローチ「デジタル・ストーリーテリング」を活用します。
今回は、「参加者個々人の人生における転換点」をテーマに、動画として仕上げました。
素材集め・編集・ナレーション、すべて参加者自身の手で行いました。
この後、第10回を経て、デジタル・ストーリーテリングのテーマを「自分の目指したい世界」として作り替えた方も多くいました。
ここで作成した動画は、この先、自分自身の初心を思い出す際の、また、周囲に自分を説明する際の、強力なツールになります。

第10回 私は"真に"何を為すのか? & ボイストレーニング 

担当コーチ:渋谷 健(DBICディレクター) / 田中 直人(123MUSIC)
作成した「デジタル・ストーリーテリング」を上映し、お互いに、感想・フィードバックを共有しあいました。
リフレクションの数の多さが、学びの深さになるため、DBICではこうしたリフレクションを大切にしています。

また、ボイストレーニングを行いました。
UNLOCK終了後、参加者の皆さんは自分自身の軸・コミットメントを会社や社会、世の中に広めていくことになります。
プレゼンテーションや、意思を伝える際、声の強さは力になります。
劇団四季や紅白出場歌手のボイストレーニングも行う田中直人さんによる指導後、参加された皆さんは声の変化に驚かれていました。

第11回 ラップアップ & UNCHAINに向けてのEGBブリッジセッション

担当コーチ:渋谷 健(DBICディレクター) / 島崎 理一(DBICディレクター)

これまでの学びを振り返り、気づきの整理を行いました。

また、変革のためのガイドブックEGBについて解説がありました。
DBICには、先達の皆さんが作り上げた、変革のためのガイドブックEGB(DX Excalation Guidebook) があります。

UNLOCK QUESTで探求してきたコミットは、参加者により、個人で行っていくケース、組織内で行っていくケースがあります。
特にコミットを企業や組織内で展開していくにあたり、このガイドブックは強力なパートナー、シェルパとなります。
EGBの読み解き方のコツを、EGB執筆統括の島崎理一さんに解説いただきました。

ここまでで、2024年上期のUNLOCK QUESTは終わりました。
ただ、参加者の皆さんの探求の旅は始まったばかり。
この先、参加された皆さんの旅が豊かで充実した旅になることを祈ります。


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