小野清美「アンネナプキンの社会史」文庫版2000年

1992年の単行本です2002年に宝島社文庫にはいっています。最近(2015年1月)サザンオールスターズのパフォーマンスが話題になりました。「ゆうこのマンスリーディ」をあつかった本があったな、と。

 2014年12月31日の紅白歌合戦やコンサートでのサザンオールスターズの独裁者もじりや勲章のずさんなあつかいなどが問題視され、2015年1月に謝罪をおこなうなどの騒ぎがありました。

 もともとが芸人にちかいおさわがせバンドだったのに、いまは深刻なメッセージ性があると思われているのか、というのが感想です。30年以上前のオールナイトニッポンなどではものすごい下ネタをやっていました。理想の女性は尻が軽くて口が重い女などといっていました。

 男性が女性の月経のことをうたう「ゆうこのマンスリーデイ」が35年前なんですね。ボーカルの桑田は日本(おそらく世界でも)最初の男性でのナプキンCM出演者です。このへんのはなしを社会学的にとりあげたのがあったな、ということで、本書を書庫からだしました。
 今読むと結婚までの処女性重視のなごりが強いですね。

 ナプキンやタンポンには、太古の昔から現代に至る月経処置をめぐる、女性の幾多の悩みや苦労がこめられている。世界史からみた月経処置や日本の生理用品の歴史、アンネナプキンの誕生から今日までの歴史を語る。
宝島社文庫648
アンネナプキンの社会史
2000年10月6日 初版第1刷発行
平成27年月日 初版第1刷発行
著 者 小野清美
発行者 蓮見清一
発行所 株式会社 宝島社
ISBN4-7966-1944-5
C0120

目次

【プロローグナプキン先生と呼ばれて

PART1
ミイラの膣からタンポンが発見された
世界史からみた月経処置の歴史

先史時代の月経処置
シュメールの人類最初の下着
聖書の月経観
パピルスタンポン
ギリシャのストイシズム――性欲を抑制する時代
クレオパトラの薫り
月経帯は貞操帯の役目!?
中世の女たちの月経処置
黒死病の時代
ルネサンス――性病の氾濫
ショーツをはいたバレリーナ
ロココ時代の香水フリークたち
産業革命の功罪
避妊具の誕生
病気の発見
第一次世界大戦が女たちを変えた
そして女たちは月経から〝解放〟されたか

PART2
脱脂綿からビクトリヤ月経帯へ
日本の生理用品の歴史

月経がイコール穢れでなかった時代
女を“安”らかにすることの意味
日本最古の性のテキスト―『医心方』
もの思いにふける女たち
〝処女〟への信奉ははぜ生まれたか
お馬を乗り習ひ
軍用品だった脱脂綿
改良が加えられる脱脂綿の生理用品
モガのお気に入り・「ビクトリヤ月経隊」
前掛けと腰巻と月経帯
「フレンド月経帯」の参入
美人看板スターの起用で当たる
月経帯への反論
ズロースブームの到来
欲しがりません勝つまでは
明治時代の月経処置をお年寄りに聞いて
女工さんたちの苦労話
コンドームvs生理用品
戦後の〝下着革命〟
改善されていない月経用ショーツ

PART3
アンネナプキン物語

40年間お待たせしました!
水に溶ける紙ナプキンをひらめく
「アンネ課長」渡紀彦の活躍
「アンネナプキン」の功績
〝月経用品〟から〝生理用品〟へ
おしゃべり好きなアンネ
初祝――女を確認する儀式
少女アンネの初経
アンネの初恋
娘に対する父親の対処の仕方
「アンネ」という名にこめられた意味
トイレ空間と月経処理容器
「タンツボ」から「サニタリーボックス」へ
日陰者から脱却
これからの月経処理容器

PART4
女たちは素敵なマンスリーデイを得たか

アイドルスターが宣伝する時代
ジーンズとミニスカートと薄ナプキン
日本経済と生理用品との知られざる関係
タンポンはなぜ嫌われたか
純潔教育の弊害
誤解に満ちたタンポン弊害説
タンポンショック事件
現代の生理用品が抱える課題
紙おむつのごみ問題
戦後、女とナプキンは強くなった

おわりに

文庫化にあたっての付記

文庫版のためのあとがき


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