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第6回 組織の変革は可能か? 選手たちの闘い

全日本ろうあ連盟をはじめとする競技団体の不正や権力の乱用が明らかになった今、選手たちは沈黙を続けるのか、それとも立ち上がるのか。この回では、内部告発に踏み切ったアスリートや、改革を求める動きの実態を詳しく掘り下げる。


選手たちの訴え――勇気ある告発とその代償

これまでの調査で明らかになったように、競技団体の運営には数多くの問題が存在する。しかし、それらの不正を告発しようとした選手たちは、組織からの圧力や報復措置に直面している。

ある選手は、協会のパワハラ的な対応や選手の選考基準の不透明さについて声を上げたが、結果として代表選考から外されることになった。別の選手は、協会の運営体制に疑問を呈したところ、SNSでの発信を制限され、競技への参加を阻害される事態に陥った。

さらに、デフスポーツ界に関する問題を外部のメディアに提供しようとした関係者が、協会からの圧力を受け、事実上の口封じをされたケースも確認されている。協会側は「組織の名誉を守るため」と主張するが、その実態は、組織の不正を隠蔽しようとするものにほかならない。


外部の支援――弁護士や第三者機関の介入

選手たちは、組織の不正を正すために弁護士や第三者機関と連携し始めている。2024年4月23日付のメールでは、全日本ろうあ連盟のコンプライアンスチームが、調査の長期化について謝罪しつつも、具体的な進展については明らかにしない姿勢を示していた。このような対応が続けば、選手たちが正当な手続きを通じて不正を正すことは困難になる。

また、この問題は難聴対策推進議員連盟にも通報されており、しかるべき議論や対策が期待されている。国会議員が関与することで、公的機関による監督や介入が進む可能性があるが、それでもろうあ連盟の対応には不信感が残る。外部弁護士を含むコンプライアンスチームを立ち上げているにもかかわらず、この問題を2025年東京デフリンピックまで表面化させないようにしようとする力が働いているのではないかという疑念が拭い去れない状況である。


東京都民の税金が投入されているデフリンピックの説明責任

2025年に東京で開催されるデフリンピックには、東京都民の巨額の税金が使用されている。しかし、この競技大会を主催する全日本ろうあ連盟が抱える問題に対し、東京都民に対する説明責任が果たされているとは言い難い。スポーツ庁や都政がどのような対応を取るのか、また、連盟がこれらの問題にどのような説明をするのかが、今後の大きな焦点となる。

もし、ろうあ連盟が適切な説明責任を果たさず、選手たちの声を無視し続けるのであれば、デフリンピックの運営そのものの正当性も問われることになるだろう。現在のままでは、日本のデフスポーツ界全体の信用を損ねる結果につながる恐れがある。


スポーツ庁や政府の対応は?

この問題に対し、スポーツ庁や政府関係者がどのような対応を取るかが注目されている。現状では、スポーツ庁は競技団体の自主性を尊重する立場を取っており、積極的な介入には消極的な姿勢を示している。しかし、公的資金が投入されている以上、競技団体のガバナンスに関する責任を無視することはできない。

選手たちは、スポーツ庁に対して説明責任を求める声を強めており、今後の政府の対応が大きな焦点となる。果たして、政府は選手たちの訴えに耳を傾けるのか、それとも組織の現状を黙認し続けるのか。その動向が問われている。


組織改革の可能性はあるのか?

選手たちの告発や外部からの圧力が高まる中で、全日本ろうあ連盟や関連する競技団体がどのように対応するのかが注目されている。理想的には、組織の透明性を高め、選手の意見を尊重する形での改革が行われるべきだ。しかし、過去の事例を見ても、内部からの改革は容易ではなく、外部からの圧力がなければ変化は期待できない。

現在、選手たちは組織の在り方を見直すための具体的な提言をまとめており、今後の展開次第では新たな競技団体の設立や、既存団体からの分離独立を視野に入れている。もし、組織が現状維持を続けるのであれば、選手たちは抜本的な改革を求める動きを加速させることになるだろう。

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