
安眠
ここ最近とても寝つきがいいのです。
横になって数分程度ですっと寝ている。
夢もあまりみないままに、すっと起きる。
これは理想的な睡眠ができているのではないかと思っています。
就寝時のお供は歌謡曲でした。
なんとなく歌謡曲を子守唄のように聴いているとすっと眠れるのです。
これでまったく問題はないんですが、ちょっと他も試してみようと思いました。
ちょうど手頃そうなのがあったので、
芥川龍之介の「トロッコ」を聴きながら横になりました。
「トロッコ」を聴きながら
たぶん小学校の頃に教科書に載っていたような気がします。
そして読んでいるはず、知っているはずだけど・・・。
このくらいのやつがちょうど良さそうです。
一日目
横になって話に集中していたのですが、案の定寝てしまいました。
時間にしてどのくらいでしょうか。5分くらい?
話も途中だったんですが、どこまで覚えているかといわれると曖昧です。
あれ、これ次の日はどうすればいいんだろう。
また始めから聴いたら、同じところで寝るような気がします。
かといって途中から?といってもどこまで聴いたのか判然としません。
18分程度の長さだったのですが、ちょっと話が長かったのかなとも思います。
二日目
もう一度最初から聴いてみました。
前日よりは少し進んで、若い土工と一緒にトロッコを押していって、というところまでは覚えていました。
しかしやはり途中で寝てしまったのです。
三日目
今度は若い土工二人と出会ったところ、から聴き始めました。
ふむふむ。そういう話だったのかと何とか聴き終えることができました。
そう思ったんですが、なんとか家に帰った後のところが抜けてしまっていて、なんか現在の話になっていたなという曖昧な記憶のみ。
そんな三日間を過ごした結果。
安眠はしているのですが、心にひっかかるものがあり日中最後の部分だけ聴き直してみました。
なんだか「トロッコ」は安眠には向いていないお話だなとようやく気付きました。
最後の、「全然なんの理由もないのに」を繰り返すところ、怖いですよね。
「手ぶくろを買いに」を聴きながら
続いて用いたのは新美南吉の「手ぶくろを買いに」です。
こちらもらじる文庫にあったものです。
これも小学生の教科書に載っていたような記憶があります。
「トロッコ」よりは楽しく聴けて安眠できるだろうと。
こちらは女性のアナウンサーさんが朗読していました。
一日目
初見、いや初聴です。
え、きつねの話?ごんぎつねではないのに、これもきつね?
かすかな記憶では親子で手ぶくろを買いに行く話だったと思ったのですが。
子狐の片手を人間の手に変えて、なぜか子狐だけに手ぶくろを買いに行かせる話。
それだけで不穏な気配がありますよね。
不穏な出だしがあったので、「ごんぎつね」のように最終的に撃たれるのではと続きが気になってしまいます。
ところが狐の手を出してしまうものの、手袋は無事に購入できてひと安心。
帰り道に子守唄が聞こえてくるのですが・・・。
で、寝ていたのか記憶がない。
二日目
また最初から聴くのもなんだなと思い日中に終盤から話だけ把握しようと聴きました。
手ぶくろを無事購入して、怖い目にも合わなかった子狐は、人間はいいものだと感じたようです。
最後の親狐の「本当に人間はいいものかしら」が妙に心に残る読み方でした。
きつね、きつねと考えていたら、落語が頭に浮かびました。
そういえば落語にはきつねの話ありますね。
いやたぬきの方が多いか。
あ、落語。
落語を聴きながら
そうだ、ぼくには落語があった。
以前、新宿の末廣亭に行ったとき、落語を続けて聴いていたら眠くなったことがありました。
名人上手ほど眠くなるなんて話もあります。
次は落語を聴いてみよう。
さて、何がいいかなと選んでみたのは渋谷らくごのポッドキャスト。
その中でも最近よく聴いている立川吉笑さんにしました。
「床女坊」は川渡り問題を落語にしたもので、頭の中でパズルをしながら聴くような落語です。
一日目
愉快かつ、頭を使っているとだんだんと安眠に近づいていきます。
元床屋の老人(床)、女性(女)、坊主(坊)の三人を川の向こう岸へ送るお話。
いろいろと試行錯誤しつつ、シミュレーションを繰り返します。
うまくいったと思うと、次なる問題が出てきます。
坊主が太り過ぎていて一人でしか船に乗れない、実は羊と狼も連れてきている。
終盤まで行き、ようやく行けそうだぞ・・・。
そこで寝ていました。
二日目
たぶんかなり後半まで聴いていたと思われますが、肝心のサゲの部分がわかりません。
これはどうしたものか。
また最初からだと最後までたどり着く前に寝てしまいそうです。
ということで、またしても日中に最後だけ確認のために聴きました。
結果、というか原点回帰
「手ぶくろを買いに」と「床女坊」と二つ続けて後半で寝てしまう、「トロッコ」も含めて、翌日最後だけ確認のため聴くを繰り返しました。
なんか普通に楽しんでいるなと気づきました。
いや、そもそも寝入りはいい状態だったのだから、朗読や落語のように筋があるものだと、
翌日に確認したくなるだけではないかと、当たり前のことに気づきました。
どうせ途中で寝てしまうなら、やはり音楽でいいのではないだろうか。
そう以前そうしていたように。
なんで変えようと思ったんだろうか、変える必要なんてなかったのに。
そう、全然なんの理由もないのに。
いいなと思ったら応援しよう!
