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住まい手どうしの顔が見える“集住体”

 新しく出会う人どうしが共に同じ集合住宅に住まうことは、多くの難しさを伴います。中でも区分所有マンションにおいては、その維持管理に際し、共有の財産を守るという点から住まい手が多く困難に直面しています。いわば共同体を守るという社会的かつ高度なコミュニケーションを通じた意思決定・合意が必要となるわけです。

 本マガジンが対象とする「都住創」において、建設活動に参加した第一世代は自らの住まいを他人任せにせず守り育て、そして次世代に継承する取組を続けてきたことがわかりました。次世代の居住者は、リノベーションを通じて自身が愛着を抱く住まいを実現することはもとより、「都住創」の理念を尊重しながら住み継いでいる様子も知ることができました。住まい手どうしが必ずしも仲のよい友人関係を結ぶわけではなく、冷静に住まいの将来に向けた話を対等にできる関係を築くように努めたことがうかがえます。こうした緩やかなつながりが、逆境を柔軟に受け止め、跳ね返す力に結びつくのではないでしょうか。

 私たちは、「都住創」が半世紀近くの間になし得てきたことを理解し、それらを社会と共有することを通じて、一般の集合住宅の長寿命化につながるヒントを提供できるのではないかと考えます。長い時間を要しますが、「都住創」どうしが再びつながり、さらに地域の方々と連携する仕組みやネットワーク、場づくりに取り組んでまいりたいと思います。

第一世代それぞれの住まい手が思いを込めた意匠を持つ壁面マーク。6号中大江、7号徳井町、10号釣鐘町、12号内淡路町で採用された(写真は10号釣鐘町)。


2020年の「生きた建築ミュージアム大阪(通称イケフェス大阪)」で作成した動画の公開を知らせる案内状。動画づくりに当たっては、12号内淡路町の住まい手たちがインタビューに応じた。こちらのリンクから視聴が可能。

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