②-1 接続助詞「ば」順接
👇俳句文法(文語)についての記事をまとめてあります。
随時追記あり。ご参考になれば幸いです。
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●助詞の分類
助詞には大きく六つの種類がある。
①格助詞
主に体言や活用語の連体形に接続し、その語がどのような文の成分になるかを示す助詞。
(例)が・の・を・に・と・へ・より・にて等
②接続助詞
用言や助動詞に接続し、上の文節と下の文節との関係を示す助詞。
(例)ば・とも・ど・ども・て・ながら・つつ等
③副助詞
種々の語に接続し、さまざまな意味を添える助詞。
(例)すら・さへ・のみ・ばかり・まで・など等
④係助詞
種々の語に接続し、文末に一定の活用形を要求する助詞。
(例)ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も
⑤終助詞
文末にあって、禁止、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)かな・な・ぞ・か・ばや等
⑥間投助詞
文中や文末にあって、語調を整えたり、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)や・よ等
●接続助詞とは
用言や助動詞に接続し、上の文節と下の文節との関係を示す助詞。
上と下との関係によって、順接、逆接など、さらにいくつかに分類できる。
(例)ば・とも・ど・ども・て・が・に・を・で・して・つつ・ながら・ものの・ものから・ものを等
数は多いが、特に重要なのは、
【ば・とも・ど・ども・て】
●「ば」は接続に要注意
①この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉
この「ば」は「登る」という動詞の未然形に接続している。
意味としては「もし、この樹を登ったならば」という仮定を表す。中七で「鬼女となるべし」と推量を述べているので、上五は仮定でよい。
このような「ば」の用法を、順接仮定条件という。
②咳き込めば我火の玉のごとくなり
この「ば」は「咳き込む」という動詞の已然形に接続している。
意味としては「咳き込んだところ」で、既に起こった事柄を表す。(⚠️現代語では「咳き込めば」というと仮定を表すが、文語ではそうならない。)
このような「ば」の用法を、順接確定条件という。
順接確定条件には他にも「~ので」と原因、理由を表す場合や、「~すると必ず」と恒常条件を表す場合もある。
●「ば」の形容詞への接続
形容詞に「ば」が接続する場合の用例を見てみよう。
①死なくば遠き雪国なかるべし
ク活用の形容詞「く」の未然形「なく」に接続しているので順接仮定条件。
⚠️未然形に接続する場合、「ば」が静音化することがある。
死なくば→死なくは
助動詞「ず」の未然形に接続する場合も静音化して
忘れずば→忘れずは
②みちのくの雪深ければ雪女郎
ク活用の形容詞「けれ」の已然形「深けれ」に接続しているので順接確定条件。
●「ば」の直前の語の活用形で見分ける
例:
①鳥わたるこきこきこきと罐切れば
「切る」という動詞の已然形に接続しているので順接確定条件。「切ったところ」
②朝顔や百たび訪はば母死なむ
「訪ふ」という動詞の未然形に接続しているので順接仮定条件。「もし訪ねたならば」
③ちるさくら海あをければ海へちる
「青し」という形容詞の已然形に接続しているので順接確定条件。
④囀に色あらば今瑠璃色に
「有り」という動詞の未然形に接続しているので順接仮定条件。「もし色があれば」
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袋小路 綴乃
参考図書: