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⑤-1 終助詞「かな」


👇俳句文法(文語)についての記事をまとめてあります。
随時追記あり。ご参考になれば幸いです。
(´>∀<`)ゝ

品詞分類表



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●助詞の分類

助詞には大きく六つの種類がある。

①格助詞
主に体言や活用語の連体形に接続し、その語がどのような文の成分になるかを示す助詞。
(例)が・の・を・に・と・へ・より・にて等

②接続助詞
用言や助動詞に接続し、上の文節と下の文節との関係を示す助詞。
(例)ば・とも・ど・ども・て・ながら・つつ等

③副助詞
種々の語に接続し、さまざまな意味を添える助詞。
(例)すら・さへ・のみ・ばかり・まで・など等

④係助詞
種々の語に接続し、文末に一定の活用形を要求する助詞。
(例)ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も

⑤終助詞
文末にあって、禁止、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)かな・な・ぞ・か・ばや等

⑥間投助詞
文中や文末にあって、語調を整えたり、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)や・よ等


●終助詞とは

文末にあって、さまざまな意味を添える助詞のこと。

終助詞には、次のようなものがある。

【かな】詠嘆(・・・だなぁ)
【な】禁止(・・・な)
【そ】禁止(・・・な。・・・ないでくれ)
【ばや】願望(・・・たい)
【もがな】願望(・・・たい。・・・があればなぁ)
【ぞ】念押し(・・・であることよ。・・・であるか。)


●切れ字「かな」とは

終助詞の中で、特に使用頻度が高いのは、切れ字としても用いられる「かな」である。

「かな」は文法的には詠嘆を表す終助詞である。

「かな」は終助詞なので、圧倒的に句の末尾に用いられる事が多い。

俳句で「かな」を用いるにあたって、文法的に気をつけるべきことは、原則的に名詞(体言)または連体形に接続する、ということである。
(その他「ばかり」など一部の副助詞に接続することもある。)


例:
①遠山に日の当たりたる枯野かな
名詞の後に接続

②夏雲群るるこの峡中に死ぬるかな
動詞「死ぬ」の連体形に接続

③腹水みたび抜きて糸瓜忌近きかな
形容詞「近し」の連体形に接続

④若葉して家ありとしも見えぬかな
打消の助動詞「ず」の連体形に接続

⑤寒鯉はしづかなるかなはたを垂れ
形容動詞「しづかなり」の連体形に接続


●「かな」を中七に用いる倒置法

例:
寒鯉はしづかなるかなはたを垂れ

この句は中七に「かな」が使われているが、
【鰭を垂れ/寒鯉はしづかなるかな】
という意味で、倒置法になっている。
上五や中七に「かな」を用いるのは、倒置法の場合に限った方がよい。


●よくある間違い

例:
❌空き箱の中に空き箱長閑かな
長閑は形容動詞「長閑なり」の語幹であって名詞でも連体形でもない。この場合は「長閑なり」と形容動詞の終止形に改めるべき。

⭕️空き箱の中に空き箱の長閑なり

❌薄紅を冴返りたる爪にかな
助詞「に」に「かな」を接続しているが間違った用法である。この場合は「爪に差す」とシンプルに表現する。

⭕️薄紅を冴返りたる爪に差す


終助詞「な・そ・ばや・もがな・ぞ」はこちら
👇


袋小路 綴乃ふくろこうじ とじの


参考図書:

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