形容詞
👇俳句文法(文語)についての記事をまとめてあります。
随時追記あり。ご参考になれば幸いです。
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●形容詞とは
形容詞とは、用言(動詞、形容詞、形容動詞)の一種で、「白し」「温かし」などのように「~し」で言い切る形で、ものの性質や状態を表す品詞のことです。
●ク活用とは●
語幹・・・高
未然形・・・高く(は)・高から(ず)
連用形・・・高く(なる)・高かり(けり)
終止形・・・高し
連体形・・・高き(こと)・高かる(べし)
已然形・・・高けれ(ども)
命令形・・・高かれ
太字の部分は、活用形によって変化する活用語尾です。
このように、未然形、連用形に「く」という活用語尾が現れる活用を、ク活用といいます。
(ちなみに未然形はほとんど用例がないので、基本的に連用形と考えてOK👍)
●シク活用とは●
語幹・・・寂
未然形・・・寂しく(は)・寂しから(ず)
連用形・・・寂しく(なる)・寂しかり(けり)
終止形・・・寂し
連体形・・・寂しき(こと)・寂しかる(べし)
已然形・・・寂しけれ(ども)
命令形・・・寂しかれ
未然形、連用形に「しく」という活用語尾が現れる活用を、シク活用と言います。
(ちなみに未然形はほとんど用例がないので、基本的に連用形と考えてOK👍)
ク活用に「シ」を付けただけなので、そんなに難しく考えなくてOK👍(終止形は除く)
全ての文語の形容詞は、ク活用かシク活用に該当します。
●ク活用・シク活用の見分け方●
形容詞の活用の見分け方は、下に「なる」を付けてみます。
「白し」に「なる」を付ければ、「白くなる」
「悲し」に「なる」を付ければ、「悲しくなる」
☝️「白し」はク活用、「悲し」はシク活用です。
例:
①豆飯や軒うつくしく暮れてゆく
シク活用・連用形
②むらさきのさまで濃からず花菖蒲
ク活用・未然形
③をみな等も涼しきときは遠を見る
シク活用・連用形
④吾子たのし涼風をけり母をけり
シク活用・終止形
⑤夕焼の長かりしあと鮑食ふ
ク活用・連用形
⑥竹の子の小さければ吾子かがみこむ
ク活用・已然形
●カリ活用は助動詞専用●
カリ活用というものがあるそうです。
さっき、形容詞はク活用とシク活用しかない、って言ってたくせに嘘つき!と思ったけど、このカリ活用は助動詞専用だそうです。
助動詞は「動詞を助ける」品詞だから、もともとは動詞にしか接続しない品詞でした。
例えば「お金が無い」を「お金が無かった」と過去形で表したい時、
形容詞「無し」の連用形「無く」に、過去の助動詞「けり」をくっ付けて「なくけり」にしたくても、助動詞の上には動詞がこないといけないからダメなんです。そこで、「無く」と「けり」の間にラ変動詞の「あり」を入れて「無くありけり」とした。これなら文法的におかしくない。
でも「なくありけり」って言いにくい。なので「なかりけり」になった。
「くあり」が「かり」になった。これがカリ活用。
カリ活用の下には助動詞が付きます。助動詞専用です。
逆に言えば、ク活用・シク活用に助動詞は接続できません。
ちなみにカリ活用には終止形と已然形はありませんが、例外が二つのみ。「多かり(終止形)」と「多かれど(已然形)」
上記の活用表の右側がカリ活用です。
未然形・・・高から(ず)・寂しから(ず)
連用形・・・高かり(けり)・寂しかり(けり)
(終止形はない)
連体形・・・高かる(べし)・寂しかる(べし)
(已然形はない)
命令形・・・高かれ・寂しかれ
●形容詞の音便●
現代の俳句に用いられる形容詞の音便はイ音便とウ音便です。
①赤い椿白い椿と落ちにけり
普通なら「赤き」「白き」となるべきところが、形容詞の連体形の「~き」の子音が取れて「~い」となるのが、形容詞のイ音便です。
②おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな
本来の形は「おもしろくて」です。形容詞の連体形「~く」の子音が取れて「~う」となるのが、形容詞のウ音便です。
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今回は、形容詞についてまとめました。
音便・・・は使いこなせる気がしませんが💧
読んでいただきありがとうございます。
袋小路 綴乃
参考図書: