⑤-2 終助詞「な」「そ」「ばや」「もがな」「ぞ」
👇俳句文法(文語)についての記事をまとめてあります。
随時追記あり。ご参考になれば幸いです。
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●助詞の分類
助詞には大きく六つの種類がある。
①格助詞
主に体言や活用語の連体形に接続し、その語がどのような文の成分になるかを示す助詞。
(例)が・の・を・に・と・へ・より・にて等
②接続助詞
用言や助動詞に接続し、上の文節と下の文節との関係を示す助詞。
(例)ば・とも・ど・ども・て・ながら・つつ等
③副助詞
種々の語に接続し、さまざまな意味を添える助詞。
(例)すら・さへ・のみ・ばかり・まで・など等
④係助詞
種々の語に接続し、文末に一定の活用形を要求する助詞。
(例)ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も
⑤終助詞
文末にあって、禁止、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)かな・な・ぞ・か・ばや等
⑥間投助詞
文中や文末にあって、語調を整えたり、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)や・よ等
●終助詞とは
文末にあって、さまざまな意味を添える助詞のこと。
終助詞には、次のようなものがある。
【かな】詠嘆(・・・だなぁ)
【な】禁止(・・・な)
【そ】禁止(・・・な。・・・ないでくれ)
【ばや】願望(・・・たい)
【もがな】願望(・・・たい。・・・があればなぁ)
【ぞ】念押し(・・・であることよ。・・・であるか。)
●禁止の「な・・・そ」
例:
数ならぬ身とな思ひそたましい祭り
この句の「な」は文法的には副詞で、「そ」が禁止の終助詞。「な」と「そ」の間に動詞の連用形を挟むことにより「・・・ないでくれ」という禁止の意味を表す。
「な・・・そ」は古めかしい表現と言える。別の禁止の終助詞「な」を用いて「思ふな」と言っても意味は大きく変わらない。
●願望の「ばや」「もがな」
例:
①蓬莱に聞かばや伊勢の初便
「ばや」は動詞の未然形に接続し「・・・たい」という願望を表す。この句の場合、願望の助動詞「たし」を用いて「聞きたし」と言っても意味は大きく変わらない。
②みちのくに恋ゆゑ細る滝もがな
「もがな」は名詞や種々の語に接続する。名詞に接続した場合「・・・があればなぁ」という願望を表す。
「ばや」も「もがな」も現代の俳句においては、やや古めかしい表現と言える。
●念押しの「ぞ」
「ぞ」には係結びを引き起こす係助詞の用法もあるが、ここでは終助詞の用法について見る。
例:
①蛤のふたみに別れ行く秋ぞ
「・・・であることよ」という一種の強調の意味になっている。
②白地着てこの郷愁の何処よりぞ
「何処」という疑問に語と呼応して「・・・か」と問いただす意味を表す。
●切字として用いられる「ぞ」
「ぞ」には、句の途中に切字として用いられる用法がある。
例:
石仏の嘆き聞く日ぞ母子草
この句の「ぞ」は「や」に置き換えることが可能。つまり切字の役割を果たしている。
「や」を用いた場合と比べると、「ぞ」はやや強い表現と言える。この場合の「ぞ」も文法的には終助詞と見なしてよい。
終助詞「かな」はこちら👇
袋小路 綴乃
参考図書:
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