⑥間投助詞「や」「よ」
👇俳句文法(文語)についての記事をまとめてあります。
随時追記あり。ご参考になれば幸いです。
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●助詞の分類
助詞には大きく六つの種類がある。
①格助詞
主に体言や活用語の連体形に接続し、その語がどのような文の成分になるかを示す助詞。
(例)が・の・を・に・と・へ・より・にて等
②接続助詞
用言や助動詞に接続し、上の文節と下の文節との関係を示す助詞。
(例)ば・とも・ど・ども・て・ながら・つつ等
③副助詞
種々の語に接続し、さまざまな意味を添える助詞。
(例)すら・さへ・のみ・ばかり・まで・など等
④係助詞
種々の語に接続し、文末に一定の活用形を要求する助詞。
(例)ぞ・なむ・や・か・こそ・は・も
⑤終助詞
文末にあって、禁止、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)かな・な・ぞ・か・ばや等
⑥間投助詞
文中や文末にあって、語調を整えたり、詠嘆などの意味を添える助詞。
(例)や・よ等
●間投助詞とは
文中や文末にあって、語調を整えたり詠嘆などの意味を添える助詞のこと。
間投助詞には、明確な接続の原則はない。
間投助詞で、俳句によく用いられるのは次の二つである。
【や · よ】
特に「や」は切れ字として用いられ、俳句の中でも最も使用頻度の高い助詞と言える。
●切れ字「や」とは
文法的には詠嘆を表す間投助詞である。
「や」はどんな品詞、どんな活用形にも接続する助詞である。
実作上は、極めて自由度の高い助詞と言える。
上五◎中七◎下五△
(下五は少し難しい)
例:
①万緑の中や吾子の歯生え初むる
名詞のあとに接続
②身にしむや亡妻の櫛を閨に踏む
動詞「しむ」の終止形に接続
③しぐるるや駅に西口東口
動詞「しぐる」の連体形に接続
④木の香けふ松に荒しや十二月
形容詞「荒し」の終止形に接続
⑤咳の子のなぞなぞあそびきりもなや
形容詞「なし」の語幹に接続
⑥爽やかや風のことばを波が継ぎ
形容動詞「爽やかなり」の語幹に接続
●切れ字にならない「や」もある
例:母や亡し坐って食ぶる蓬餅
詠嘆の意味はなく、単に語調を整えるために「や」を使う場合もある。この場合の「や」は省略しても意味は変わらない。
●間投助詞「よ」とは
間投助詞「よ」もよく俳句に使われる。
呼びかけ、軽い切れ字のように使われる。
体言または動詞の連体形に接続する例が多い。
「や」と違い下五にも用いられる例が比較的多い。
上五○中七○下五〇
例:
①啄木鳥よ汝も垂直登攀者
呼びかけるような意味で使われる。
文法的には呼びかけの用法と言う。
②厨房に貝があるくよ雛祭
「よ」は「や」に置き換え可能で、切れ字として用いられている。
③風生と死の話して涼しさよ
軽い詠嘆を表しており、「かな」に近い使い方をしている。
袋小路 綴乃
参考図書: