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トルコ旅行 Day 6 その2:デニズリで出会ったトルココーヒーの世界
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トルコの街を歩いていて、最も印象的だったのは大きな街の目抜き通りの景観です。そこには高級感あふれるスイーツ店が軒を連ねていました。香港やアジアの大都市では、こうした一等地には通常、宝石店や高級時計店、最新の携帯電話ショップなど、高額商品を扱う店舗が並びます。しかし、ここトルコでは様相が異なります。
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スイーツ店のショーケースには、バクラヴァやロクムをはじめとする伝統的なお菓子が、まるで宝石のように美しくディスプレイされています。イスラム文化圏であるトルコでは、お酒を飲む習慣を持たない人々が多く、その分、スイーツやコーヒー、紅茶といった嗜好品に贅沢を見出しているのかもしれません。(あくまで想像)
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パムッカレの白銀の石灰棚を後にし、エーゲ海沿岸のクシャダスへと向かう途中、西トルコの街デニズリに立ち寄りました。偶然入った食料品ショップで、トルコの豊かなコーヒー文化に触れる機会に恵まれました。
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店内に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、高級品のように美しく陳列されたコーヒー豆のディスプレイでした。その光景に魅了され、思わずシャッターを切りました。
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このお店の店員さんたちの接客は、とても印象的。
お土産屋さんでありがちな、押しつけがましい営業ではなく、むしろ「買ってくれたら嬉しいな」という純粋な気持ちが伝わってくる、温かみのある対応でした。
私が「トルココーヒーは苦手なんです」と正直に告げると、店員さんは日本の親しみやすい飲み屋のマスターのような調子で、「まあそう言わずに、俺のコーヒーを飲んでみてよ」と勧めてきました。
その雰囲気に押され、結局一杯をいただくことに。
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トルココーヒーの特徴は、細かく挽いた豆をお湯で煮出す独特の淹れ方にあります。普段、薄めのドリップコーヒーに慣れ親しんでいる私には、この濃厚な一杯は少々強烈でした。特に気になるのは、カップの底に溜まる細かい粉です。
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そうやって 飲み終わった後、店員さんが「占いをしてあげる」と言い出したのには驚きました。
カップを伏せ、しばらく待った後、底に残ったコーヒー粉の形から未来を読み解くという占い手法でした。香港に戻ってから知ったのですが、これは伝統的なタシ占いというものだそうです。
真剣な表情で粉の模様を読み解く店員さんが、一瞬 口ごもった後ですごく良いことを言ってくれたので、きっと本当は凶相が出ていたに違いないと思っています。
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楽しい時間を過ごしたお店で、最後にブラジル産の豆を200グラム購入しました。500円ほどという破格の値段も魅力的。
香港に戻って普段の淹れ方で飲んでみると、これがまた格別に美味しかったのです。
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今回の旅では、トルコの伝統的なスイーツには主に紅茶を合わせて楽しみました。しかし、後で知ったのですが、トルココーヒーの本来の楽しみ方は、甘いスイーツと一緒に味わうことなのだそうです。強い苦みのコーヒーと、蜂蜜がたっぷりのスイーツが、絶妙なバランスを生み出すのだとか。
次回トルコを訪れる機会があれば、ぜひともトルココーヒーとスイーツの伝統的な組み合わせを、ゆっくりと味わってみたいと思います。
最後にクシャダスで宿泊したElite World Hotelと部屋のベランダからのドローン映像です。
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