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イスタンブールの夕暮れに見つけた灯り

ボスポラス海峡に沈む夕陽を眺めながらの夕食を終え、妻と二人でガラタ塔へと続く坂道を歩いていた。疲れた足を引きずりながら進む途中、温かな明かりを灯す小さなコーヒーショップが目に留まる。

店先の洗練された飾り付けに惹かれ、店内を覗くと、穏やかな笑顔の店主とワンちゃんが迎えてくれた。「店頭に座っていいですか?」と願い出ると、優しく頷いてくれる。

フラットホワイトを注文し、店先の椅子に腰掛けると、朝からの長い散策で刻んだ二万歩の疲れが、ゆっくりと溶けていった。

「最後に一枚、写真を」とカメラを指差した私に、店主は柔らかな笑顔を向けてくれた。その表情には、旅人をそっと癒やす、この街の優しさが映っていた。穏やかな店主と、忠実な番犬の佇まいが、小さなコーヒーショップの温もりを一層深めていた。

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