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カンパニュラは二度咲く。

玄関先に置いてある春咲きのカンパニュラが、今年は秋にも花をつけている。

こういう健気な自然のサイクルを見ると、つい思い耽ってしまうのは歳のせいだろうか。
マレーシアに住んでいた頃、家の前の道にあるとても背の高い木から、一年に二度、種がいっせいに落ちてくるのを見た。そうすると、二件隣の心優しい中国人のアンティーと私は、朝方か夕方の涼しくなった時間帯に箒を持ち出し、シャ、シャ、と音を立てながら家の前の道を掃いた。アンティーは月餅を作っているところだと言った。ある時はちまきをつくっていた。

何ものにも押されていない、そういう時間が好きだった。

一年に二度秋が来て、空から種が落ちてくる。それを見上げているうちに、「二期作」という誰かが名付けた教科書の言葉を思い出した、と同時に、その言葉の上に風が吹いたような気がした。

今日もカンパニュラの花を見て、私の人生はいったい何度咲いただろうか、とか思っていた。自分を咲かせるのは自分でしかないのだな、とか。





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