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あかりを灯すもの 〜 LAPUAN KANKURIT 表参道

雨降りの表参道です。

大通りから路地へ少し入ると、それまでの喧騒が嘘のように静まります。にぎやかな場所が得意ではないので、あまり頻繁にくる場所ではありませんが、こちらのお店の前まで来るとホッとひと息つけるような気がします。

そのお店とは、LAPUAN KANKURIT 表参道のこと。テキスタイルなどを中心としたフィンランドのメーカー/ブランドです。もうお店に来るのは5回目くらいなので、目をつぶっていてもたどり着けます。

傘をくるくると回すような気分で、慣れたふうに路地を曲がり、しばらく歩くと、また大通りに出てしまいました。「あぁ間違えた、もうひとつ先の道だった」。その通りを進んでいくと再び大通りへ。なんだか狐につままれた気分です。

もしかしたらもう二度とお店にたどり着けないのではないかと思った矢先、見たことのある路地に出ました。角を曲がりゆるやかな坂をのぼっていくと、オレンジ色のあたたかな灯りが出迎えてくれました。

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前置きが長くなりました。

今回お店にやってきたのは、現在開催中のイベント【Taito Kauppa|フィンランドの工芸 】を見るためでした。

白樺細工、ヒンメリ、ククサにサーミのブレスレット、そしてリュイユといったフィンランドの工芸品、それも日本の作家による品々が集められています。LAPUAN KANKURIT 表参道のnoteなどではたくさんの写真で紹介されていますが、実際に目にしてみたかったのです。

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「こんにちは」と入り口のドアをくぐると、店長のHさんがいらっしゃいました。「あ、〇〇さん、こんにちは。いらっしゃいませ」とすぐに気づいてくださいました。

とても明るく気さくなHさん。このお店の居心地のよさはHさんによってつくられているものだなぁといつも思います。 

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お店に入るとほんのりと白樺の香りがします。ヴィヒタの飾られたディスプレイも夏らしく爽やかな感じがしました。白樺のかごや鞄もとてもきれいに編み込まれていて素敵です。

ちょうど午後の落ち着いた時間帯で、他にお客さんがいなかったので「えっと、工芸展を見にきたんです」とHさんに声をかけると「ぜひぜひ、どうぞごゆっくり」。

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竹ひごのように細いストローのヒンメリが、ゆっ、、くりと回っています。どこから吹いてくる風でしょうか。一緒にうごく影を見ているとなんだかとても落ち着いてきます。

ヒンメリは天井や壁にも。外から入ってくる光の加減でもきっと見え方が変わるのだろうなぁと思っていました。

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じつは今日お店に来た目的は、工芸展だけでなく、誕生日プレゼントを選ぶためでもありました。ククサや白樺細工を見るふりをして、棚の布などを物色します。ふりをする必要はまったくないのですが、笑。

Hさんはカウンターの向こうでダンボールと格闘しています。余計なお世話とわかっていながら手伝いましょうかと声をかけたくなってしまうのは自分だけでしょうか(なんとか我慢しました)。

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ふわふわのリュイユ。とても触ってみたくなります。どことなくカウンターの後ろの壁に飾ってあるマリアンネ・フオタリの壁掛けみたいだなあと思っていました。

サーミのブレスレットは以前『サーミのうた』というヨイクのライブで出店されていたのを見たことがありました。とても細かく美しい刺繍で、材料は全て現地から輸入されているそうです。

とりあえずテーブルの周りをくるくると回ります。水色と黄緑色、どちらにしようか迷っていたためです。あ、プレゼントのことです。

黄緑色にしようと思った瞬間にやっぱり水色かも。水色でいいかなと思って手に取ろうとすると黄緑色に目が。頭の中もヒンメリと一緒にくるくると。

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ククサを見ていると、Hさんが作家の方について教えてくださいました。長崎の五島列島にアトリエがあり、若くてシュッとした方だそうです。

自分がとてもシュッとしていないので、なかなかイメージがわかなかったのですが、なめらかな手触りのククサはとてもシュッとしていました。現地のいろいろな木材を使っているのもおもしろいなあと思いました。

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プレゼントが決まりました。

カウンターのHさんのところへ持っていくと「包みますか?」と聞かれたので、プレゼント用に包んでいただくことにしました。

お話しながらでも全く変わらないHさんの手際の良さに見とれながら考えていたのは、お店はやっぱり人だなぁということです。

きっとまたHさんに会うために、表参道にあるこのお店の灯りを目指してやってくるのでしょう。みなさんにもそんなお店はありますか?

今回の写真は、takemasaさんにご協力していただきました。すてきな写真をありがとうございました。

・・・晴れていますね、笑。

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くわしい展示の内容は、LAPUAN KANKURIT 表参道の note でチェックしてみてください。Hさん、どうもありがとうございました。


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