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減量生活カイゼンー人生初のダイエット、その7

 さて、ダイエットとアルコールの関係である。はっきり言ってこれほど相性の悪い組み合わせもあるまい。しかしこのバランスをなんとか保っていく方法を見つけないと長期的な解決にもならないわけで。

ダイエットの敵、生ビール
 イギリスに住んで早20年。予定では2年ほどの予定だったのがあれよあれよという間にである。やはり仕事を得てしまったのが大きい。そして現在無職生活1年を迎えようとしているというのも興味深いところで。
 さて、ご存じの方も多いかと思われるがイギリスはビール大国だ。パブという飲み屋が街角ごとに1件あるといっても過言ではない。うちの近所だけでも8件は思いつく。パブはドラフトビール、ようは生ビールをカウンターでパイントグラスで売っているバーだ。1パイントは約568mlなので日本の中ジョッキと大ジョッキの間というややこしい量だが少なくはない。ビールのロング缶というのが500mlだからそれより多い。たまにパイント缶なんてものも見かけるがちょっとぎょっとするサイズよ。

 こちらに住み始めた当初はつまみもなしに立ったままでがぶがぶパイントを飲む同僚についていけなかったものだが3年も経つと、最低週1は仲間とパブに行き、混み合うカウンターを潜り抜けて8人くらいならなんなくそれぞれのオーダーをとって1晩で3-4杯は軽く飲んでいた。
 一時はそれこそ週3くらい、仕事のストレスがそのまま酒量につながる。食べずに飲むから家にたどり着いたころには時間も遅く、ありあわせの麺類とかうっかりケバブと買って帰って食べてしまう。今思うと恐ろしい量の摂取カロリーだ。

 コロナになってよかったと思うというと不謹慎にあたる方もおられようが、個人的には悪のパブ通いのループが止まったのは大助かりとなった。ワクチン接種が進んだ今も仕事をしていないのでパブは再開したけれどその機会も激減した。そうするといかに以前の生活がとんでもなかったのかがしみじみと実感される。
 今でも生ビールは大好きでパブにも相棒とちょこちょこ行く。けれど週に1度行く程度で飲む量も2パイントになった。エールビールやクラフトビールのおいしさに気づいてからはがぶ飲みというよりはビールの味を楽しんで飲むようになったのもあるだろう。
 昔は500mlの4本入りの安いラガーをスーパーで買っていたがそれもなくなった。500でも350でも1本は1本で飲んじゃうんだと気づいたのだ。ようはあればあるだけ飲んでしまう。ビールを飲むのは金曜日かどうしても飲みたいときだけと決め、なんとなくそれで落ち着いている。

ハイボール
 ビールを制限しようと思ったところに現れた救世主がハイボール。これもおなじみの対策だろうがこれは自分には効果的だった。カロリーは3分の1以下だもん。イギリスでハイボールというとウイスキーアンドソーダになってハイボールでは通じない。あとウイスキー好きの人の前で注文すると明らかに馬鹿にした目で見られるがワタシはおいしいと思う。
 パブに行った際は潔くビールを飲んで、うちで飲むときはハイボールがメインとなった。そして去年おうち時間爆上がりの中で買ったのがソーダ
ストリーム。

 炭酸水は水と同じくらいの値段で買えるのだが消費頻度と量を考えると500mlボトルを買うことになり、そうするとゴミ捨ての度に地球環境破壊促進に加担している罪悪感がハンパなくガラスのボトルバージョンを購入。多分コロナ以後ベストのお買い物。
 全体的に酒量が減ったのか夕食に小さいグラスに1杯のハイボールで終わることも少なくなくなった。目分量ダブルだけどね。単に年を取って弱くなってきただけかもしれないが喜ばしいことだ。

ワインとスパークリングワイン
 もちろんワインも好きで飲む。基本的に夕食のメニューに合わせるとやっぱりワインはなんにでも合う。うちはロゼと赤派で歩いて15分ほどのところにあるフランス人がやっているワインショップがあるのだがここに空瓶を持って行くとリフィルでワインを買えるというスタイルをやっていてたいていはロゼと赤をそれぞれ2本づつリフィルで買う。それらを飲み終わったらまた買いに行くというパターン。2週に1度程度の頻度だからそう悪くもないだろう。もちろん普通のワインボトルもあって面白そうなものがあればそれらを足して買ったりもするので実際はもっと飲んでるけど。

 リフィルは1本7.5ポンドなので1,000円ちょっと。ボトルと輸送のコストが下がることからするとかなりお値打ちのワインでオーナーが月毎に仕入れを買えるのでリフィルだけを飲み続けても飽きないようになっている。どちらもたいてい南フランスものでそっち系のワインが口に合うのでこれはすっかりうちでは定番。
 スパークリングワインはプロセッコが多い。シャンパンはやっぱりお高いのでちょっと特別な時仕様。カヴァもおいしいけどバーとかだとプロセッコが主流な気がする。前の職場の女の子のデザイナーはカヴァは甘くてプロセッコの方がすっきりしていていいのよね、なんていっていたけどどうなんだろ。おいしいものはおいしいしまずいものはまずいと思うんだけど結局は好みなんだろう。
 このところうちで飲むのはプロセッコでもっぱらこれ。

 ちゃんと調べてみるとびっくり、スペイン産! スペイン産のスパークリングワインがカヴァでイタリア産がプロセッコなんじゃないの?!プロセッコの方がブランディング力があるからだろう、これってずるくないか? でもこれはスーパーの安売りのときは9ポンド、約1,350円くらいで買える。程よく辛口で口当たりよし。グラスをちゃんとしたフルートで飲めば十分。
 泡物は開けたら飲まなきゃというのもこれがあれば必要なし。

 日本でも買えるけど高いねぇ… これまでいくつか買って試してみたけどこれは使うのも簡単で壊れないからよし。

飲み相手がいるのはいいことかわるいことか
 自分が飲むせいだろうか、周りも飲む人間が多い。男友達が多いのと彼らと友達になったのが飲みの場だったせいだろう。こっちではラウンド制度なるものがあって、パブでは自分の飲み物がなくなった人がその場でグラスが空になりそうな人の分も買うというもの。暗黙の了解で持ち回りで買うようになっている。

 このタイミングとパターンを覚えてこなすのはこっちでのコミュニケーションスキルとして必須だ。1ラウンドで8,000円くらいいっちゃう場合もあれば1,000円ですむこともある。逆に1度も来ないこともあるがこれも要注意で何度かそのタイミングにはまると陰であいつはセコイとか言われたりするのよぅ。

 先輩が後輩といったときは先輩が多くこなすのは日本的だがこっちでもそれは普通。ワタシは部下が個人的に相談に来た際は1杯目はおごりね、というパワハラもどきの制度を自分でつくって採用していた。結局残りは全部持つんだけどさ。

 このラウンド制度でやっかいなのが自分で自分の飲むペースをコントロールしづらいこと。グラスにまだビールがあるのに買ってくれたり、買ってきてくれたのを飲まなきゃ悪いと急ピッチで飲んでしまったりする。少人数で飲むと次のタイミングを全員で合わせるために一番遅い人が最後に急いで飲み終えないといけない感じになったり。自分はこれで飲むピッチが速くなってしまった。

それで結局どうなんだいという問題
 ここまで読んでいただけたのであればいかにワタシが酒好きであるかがおわかりいただけだろう。そしてたどり着いた今のところの結論として、
「酒を減らすにはストレスを減らすこと」
「酒以外にストレス解消の手段を持つこと」
「グラスが空になるまで次を頼まないし、足さないこと」
 と、ダイエットとはちょっと外れたところにあったりする。けれどダイエットとは健康を目的とした行為でありそのための生活習慣のカイゼンなのだ。なのでまったく関係がないということもない。

 ともあれ酒量が増えるのには原因があってそれをバロメーターとして認識するのはいいこと。特にこの1年で酒はなんとなくとかストレス解消で飲むものから楽しんで飲みたいときに飲むものになったのは意味があるかなと思っている。真のチャレンジはおそらく復職したときだろうけどね。

つづく

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