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たまごごはんの無職生活 その7-つくることと副業への模索

 ちょっとこの無職生活の最初に書いたところに立ち戻ってみる。ワークライフバランス、である。そうだった、そうなのよ。そもそもはこの辺を真面目に考え出したこの数年の結論が早期退職募集に乗っかってみるというやつなんだった。そこからキャリアマッピングを経てキャリアプランを立てて、実際就職活動を始めるまでに半年以上かかってしまった。
 退職からあっという間に1年が経って、さらにそれから数か月、実は未だ再就職には至っていない。この16年ほどはそれこそ馬車馬のように働いて仕事=人生だったから、まずその呪いを解くのにずいぶんかかってしまった。そして50手前での転職となると定年から定年後のキャリアについても考えた。

仕事人生って長いのよ
 28歳でロンドンに来て早20年、日本の大学で建築を学んだ後に最初に得た仕事から数えて職歴はトータルで20年を超えたところか。昨今のリタイアの年齢と言えば順当にいって65、自分のころは70なのかもしれない。リタイア時を決めるのは自分の希望と老後の資金を見比べて決める、というのが周りを見ていても普通になってきているように思う。少なくともみんな一律で60とか65とかではない。
 60歳でさくっと辞めちゃう人もいれば、60以降は週3日とかにしてゆっくり仕事時間をうまく減らしていっている友人もいるし、前の会社のボスなんて69で新しく家族で会社を立ち上げて楽しそうにやってたりして。
 要は60歳になった時点で(いやそれよりも早い人もいるけどさ)自分にチョイスがあるか、持てるかなんだなとこの数年で思い始めた。30代では考えもしなかったいわゆる「老後」ってやつが見えてきたというか。あとはいかに自分をアップデートしていく環境を維持し続けられるか。
 アップグレードじゃなくてアップデート。それこそ今週新しいiOSが自動でスマホにアップデートされてて普段使うアプリとかでちょこちょこあれ?あれ?みたいな変更がされていて、それにはまだなんとかついて行ってるけど2年くらいスマホを触らなかったら結構厳しいんだろうなと思ったり。これからは2年どころか半年とかになっちゃうのかねぇ。

 仕事がなくなったらやることがなくてダメになっちゃう、と以前は思っていたがこの1年を超える無職生活で自分はその心配がないことを発見してしまった。お勉強とかリサーチとかエクササイズとかお料理とか、時間使うの全然問題ない!けれどこのまま無収入で人生を終えられるほどの蓄えはもちろんないのでやっぱり収入を得ないといけない。ところがこの新しい発見のおかげで精神と体をすり減らして働く意義とか意味に疑問を持つようになってしまった。

 ここで前回のポストにつながるのだけれど、働くことを辞めるとか時間を調整できるようになるには自分にその価値がないとダメなんだよね。そこから色々悩んだり考えたりしているうちに前回のポストから2か月も経ってしまった。
 書きたい内容は積もっていったのだけど、自分の心が定まっていないせいで「書く」という行為にまでたどり着かなかった。どうやらぼちぼち頭がはっきりしてきたみたい。

副業ってどんなもんなんだろ
 そうそう副業について書こうと思っていたんでした。そもそもの動機は生活の拠点をロンドンだけでこのまま生きていくよりは年に数回、最低でも1か月単位で日本に帰りつつ仕事も続けられるか模索してみたいし、そのためには日本にも仕事がいくらかあったほうがいいんじゃないかというもの。イギリスでの職歴が日本でのそれよりずいぶん長くなってしまった自分が日本で仕事を得られるのかという興味もあった。

 そしてどうせならこっちでやってることだけじゃなくてもともとなにかをつくる、という行為が好きなのでその辺りを生かしてなにかできないかなーとぼんやり思ったのが最初かな。今後キャリアてきにはデザインからちょっと離れてしまうのだけど、やっぱりなにか創作するということを日常から切り離したくないという衝動はあって。それに日本にいる時の小遣いくらいは日本で稼ぎたいなというのもあったり。
 今はすっかり便利な世の中でネットで調べたら出てくる出てくる。
 色々見た中でワタシがやっているのはLancers。CloudWorksと悩んで結局こっちにした。

 ちなみにこのNoteも書くことも好きな自分の創作欲を満たすだけでなくて発信することによって出会いがあったり学ぶことが出てくるという理由もある。

 Lancersは特にクリエイター系に強いらしいということで覗いてみると色々あるある。インテリアデザインを長らくやっているから逆にインテリアデザインは一度避けて趣味レベルのグラフィックデザインを試してみようと考えた。そこでトライしたのがロゴのデザインコンペ。これは当選すれば報酬が入るけれど、しなければ何日かけてやろうがお金は入らない。けれどコンペに参加した実績とスキルを磨くにはありなのでまずはリハビリを兼ねて30は応募しようと決めた。
 最初の数週は長年使っていなかったIllustratorの簡単な使い方すら思い出せなくてGoogleとYouTubeで検索しては使ってとえらく時間がかかったのだけれど、3-4週間もするとこなれてきて週に3-5つ応募するようになりハマってしまった。

 コンペシステムの面白いところは当選者決定後は当選作品だけでなく他の応募作品も見れるところ。すべてではないけれどここが面白い。最初のころは特に自分の作品のしょぼさとかが良くわかるし、ちょこちょこっとしたテクニックを盗めるから無料で学校に通わせてもらっているみたい。
 応募作品を提出するときは毎回ちょっとドキドキする。当選者が確定したときのお知らせで自分のものかどうかわかるので自信があったものについては落ち込んだり、当選作品を見に行ってくさしてみたり。
 デザインってやっぱりどれだけクライアントの意向を汲んでそれをいい意味で裏切るかだよなぁと思うのだけれど、希望まんまーのものが当選することも多く、そうだよなぁ、やっぱりクライアントの言うことも聞かないとなぁと思ったりもして。
 会社勤めの時は自信ありの時は1案のみ。クライアントによっては希望まんまバージョンと自信ありの2パターンが定番だったなぁとか思い出したり。

 この数年はずっと中間管理職をしていたので自分で手を動かしてデザインをするという行為はすごく楽しくてあーやっぱりこれはなにかしらの形で常にやっていないとダメだなぁと改めて実感。
 Noteをお休みしていたこの2か月ほどはLancersの活動も止まってしまったのだけれど、3か月で当選まではいかなけったけれど参加賞をもらうことができた。ロゴデザインじゃないけどね。

 そして面白いことに2か月目で直接オファーがきた。それもデザイン系の。これは嬉しかった。
 サービス内容と値段の交渉、ブリーフィングから修正依頼への対応まで何かと初めての経験でドキドキやらワクワクやらで。フリーランスってこれが続くのかぁとその大変さを思ったり、時間の使い方が自由なのに感動したりと学ぶことたくさん。いやー50手前でも人間学べますし楽しいです。

 もちろんそれで食べていくなんて状況からは程遠いし、そもそも日本に一時帰国した際のお小遣い程度稼げればよしというターゲットの低さもあるのだろうけれど、この経験は個人的にはとても興味深いものとなった。今後もぼちぼち続けていきたいところ。
 自分で自分を売り込めるかという問いが少し見えたのかもしれない。またそのためには何をしないといけないかを考え始めたように思う。

本業と副業
 日本でのフリーランスをやってみた理由は収入を1つに限るよりは複数あった方が経済的に安心する可能性増やせるのと、将来フルタイム勤務だけがチョイスなのではなく日本からの副業とロンドンでのパートタイムを合わせた形で生活していくという場合も模索できるなと思ったっていうのもある。

なんらかの形でデザインを続けるという楽しみを見つけたのはボーナスだった。自身で興味のままにものを作るのも楽しいが、クライアントありきで評価を競うという世界になじんでいるせいかこの副業スタイルも面白い。今後はこれまでの経験をも生かした方面でも仕事獲得にチャレンジしてみるつもり。

 コロナは人を苦しめたし未だ大変な状況であることに変わりはないけれど、今までの働き方を変えるきっかけとしては世界規模に大きいものだったと思うし、自分のような海外在住者にとっては確実に今後の将来設計にポジティブに働くきっかけになった。極端な話をすれば世界中どこにいてもデバイスとネットワークとスキルさえあれば働けるのだ。
 逆に言えばスキルとネットワークがないとどうにもならない、なのか!

つづく

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