将棋で初段になるまでに最短どのくらいかかるかに対する個人的な意見
ちょっと前に、「最短で初段になる方法」みたいな将棋スレまとめを見た。読み終わって、何かもやもやしていた。そのさい、ついでにググっていくつか別のサイト調べたものの、やはりスッキリしない。
もやもやの正体はすぐに分かった。前提を共有できていないためだ。「最短」って具体的に、何時間、何日くらいをイメージしているのかがバラバラなせいで、ぜんぜん最短に見えない。時間もったいなくないかとの疑問が何度も頭に浮かんでくる。
そこで、私のイメージする最短初段到達ルートは何時間かかるかを考えながらまとめてみた。結果として、ふつうの方法で頑張ると60時間程度で初段になれるが私にとってのボーダー、それ以上時間のかかりそうな方法では私の心には響かない。もっと早いと思えれば、それにのっかるだろう。
ここでの初段は「将棋ウォーズ初段になれる棋力」として、1日3局制限とか、棋力が上がっても級位が追いつかないとかは考えないものとする。
適正特大→30~50時間
・対人ゲーム経験あり(将棋に近いとなおよし)。
・コーチや書籍にいくらお金を費やしてもOK。
・自分に合った効果的な勉強法を構築できる。
これらすべてが当てはまるひとは、30~50時間で初段に到達できると私は考える。
例えば、詰将棋について考えてみよう。3手詰めハンドブックを1周20分で読みきるとする。5周×2冊で200分、3時間20分で最低限モノにできる。早ければ5時間も詰め将棋をこなせば、5手詰めでも結果を得られるだろう。初段になるのには十分だ。
ほかに手筋、次の一手にも同様の時間を費やすとして、書籍で必要な知識を得るのに15時間を見込む。
残りは実戦で試行錯誤する時間。すごくいいコーチに指したそばから適切なアドバイスをもらって、言われた側から身につけていく想定ならば、初段までに200~300回対局して、20時間前後が必要と思う。
序盤は必要なだけ、コーチに教わる。
適正大→50~75時間
・対人ゲーム経験あり(将棋に近いとなおよし)。
・コーチや書籍にいくらお金を費やしてもOK。
・自分に合った効果的な勉強法を構築できる。
このうち2個当てはまるひとは、50~75時間で初段に到達できると私は考える。
適性特大に比べて効率は劣るものの、確実な成長が見込める。
もっとも多いだろうコーチを頼まない場合をイメージして比較してみよう。
ネットで基本的情報を調べる時間が追加され、実戦&振り返りでは単純に気づきの量が減ると思われる(自分で気づく分、質は上がるかも)。
本を読むとしても、質が下がるだろう。ただ、初段向けをうたう本は一定量あるわけで、そこを間違えなければ大きくは変わらないとも思う。
序盤はネットや書籍に頼ることになるが、いまの自分にピッタリハマるアドバイスは求めがたい。自分で考えて解決したほうが早い場合も多いはずだ。10時間の追加は見込むべきだろう。
私がチェスをやって初段レベルまでなってみた結果、だいたいこんな感じだと思った(将棋経験ありで、自分に合った効果のある勉強法をある程度構築できる。お金は書籍にしぶしぶ3000円ほど使った。約75時間で初段よりちょっと上まで達成)。
適正中→60~120時間
・対人ゲーム経験あり(将棋に近いとなおよし)。
・コーチや書籍にいくらお金を費やしてもOK。
・自分に合った効果的な勉強法を構築できる。
このうち1個当てはまるひとは、60~120時間で初段に到達できると私は考える。
学校である程度学問を修めて、自分に合った勉強法を理解しているひとをイメージしてみよう。
まず、自分に合ったやり方を、将棋の習熟に応用する時間が追加で必要になりそうだ。
また、精神面でのやりとりも、気づくのが難しい要素として追加される。いっそ精神面は無視して盤面の最善のみを求めるほうが効率がよくなるかもしれないが、私には評価ができない。私は精神面重視で将棋を学んできたため、そうでない思考をうまく理解できていない面がある。将棋ソフトが発達するより前に将棋の基本を会得したおじさんなので、最善手を求めて強くなる方法が分からない。
適正不明→60~∞
・対人ゲーム経験あり(将棋に近いとなおよし)。
・コーチや書籍にいくらお金を費やしてもOK。
・自分に合った効果的な勉強法を構築できる。
このうち1個も当てははらないひとは、60時間以上で初段に到達できると私は考える。
適正不明のひとは、そもそも「勝つために必要なことを必要なだけやる」のに注力できるかが勝負。それさえできればそんなにロスはないが、そんなひとがいるのかよとも思う。「自分に合った効果的な勉強法を構築する」のにどのくらい時間を使うかが勝負になってくるのではなかろうか。
あくまで最短
30時間で初段と言われても、こんなに早くなれるわけないと思うかもしれない。私もそう思う。モチベーション維持や、適切な方法を適切に実践できる能力があるかなど、本当は大事な問題を不問にして、最短と思しき時間を提示しているにすぎない。例えば、「毎日詰将棋を〇問解く」みたいなアドバイスは、棋力向上ではなく、習慣化、モチベーション維持に有効だが、今回はスルーした。
実際には、そんなに長く全力で将棋に向き合える大人は少ないだろう。多くのひとは年単位かけて初段に到達している。そんなもんだろう。ここでの数字と比較して、焦る必要も落ち込む必要もない。
とはいえ、最短を目指す理論値の話なら、お金で解決できる問題はクリアできるものとして、1日1時間将棋するなら、2~3ヶ月で初段になれるとの前提で話を進めるべきと思う。自身の訓練方法を見直すときも、「60時間で初段になれると思うか」と自問すると有意義だろう。
ちなみに、私が勧めない勉強法である動画視聴や棋譜並べはこの60時間ルールで除外できる。私の感覚では、20分の動画見るよりも詰将棋本1冊回すほうがまさるし、棋譜並べはまず符号を認識するのに時間がかかるしで、自分で指して対局に慣れるほうが早いと思う。
私はチェス二~三段レベルになったけど、チェスの符号、いまだに何となくしか分かっていません(苦笑)。というか、ルールもまだ正確には分かってない。将棋では初段~二段以降は、やらなきゃいけないことが格段に増えて、定跡のおべんきょとか、人によっては棋譜並べとかもやったほうが効率よくなると考えているのですがチェスだとどうなるか……。って、自分の話は置いておいて。
まとめると、私の意見は、自分に必要なものを必要なだけやるよう突き詰められれば、1日1時間×2~3カ月で初段になれるです。
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