3手詰めの解き方 2019-3-2
今回も3手詰めを1問、やっていきましょう。
第5問
この問題を解く方法はいくつかあります。まずは使えていない駒に注目するやり方からみましょう。以下の原則を使います。
・原則 玉の逃げ道をふさいでいるか考える
2二玉の逃げ道をふさいでいるかを確認することで、1五銀が使えていないことに気づきます。それがわかると、次の原則を使えるようになります。
・原則 役立っていない駒を使う
使えていない1五銀を使うためどうすればいいか。もっと相手玉を近づける必要があると思われます。具体化すると、▲1三馬△同玉という手順が予想できます。そこで▲1二金と打てば詰みですね。
戻って確認していくと、▲1三馬には△同桂と△1一玉の応手があります。それぞれ、▲1三馬△同桂には▲2一金、▲1三馬△1一玉には▲1二金で詰みです。
まとめると、▲1三馬△同玉▲1二金までが一例で、ほかに▲1三馬△同桂には▲2一金、▲1三馬△1一玉には▲1二金で詰みが正解です。
ほかの解き方として、相手玉の逃げ方に注目しても、詰ますことができます。
・原則 守備側は自玉を中央に逃がすべき
この考え方ではまず、相手側の玉は△3一玉~△4二玉と逃げると予想します。次に3一に逃がさない、または3一に逃げられても詰む形を探します(それぞれ分けてもいいでしょう)。いくつかありますが、▲2三金△3一玉▲3二金という手順が最初に思い浮かぶかもしれません。これは不正解ですが、自然な玉の追い方です。
▲2三金では△1一玉と逃げられたときに困ります。ここでは3手詰めだとわかっているので、2手あとにあと1手で詰まないとしたら、不正解だとわかります。わかっていない場合はこう少し探ってみる必要があるでしょう。
詰まなかったら、攻める手に何かおかしいはずなので、戻りましょう。3手目で詰まないことがわかっているなら、初手▲2三金以外の手を再考しましょう。
▲2三金のほかに、「3一に逃げられない、または3一に逃げられても詰む手」というと、▲1三馬や▲2一と、▲2三歩成が挙げられます。順に検討していくと、いずれ答えが見つかるでしょう。検討していくときにも、3手目で詰むはず、相手玉は△3一玉~△4二玉と逃げるなどの条件を意識するといいでしょう。無駄な読みを減らせます。
順に検討していれば、どこかの段階で、▲1三馬が見つかるはずです。前半で行った1五銀に注目した解法と違って、この場合は相手が△3一玉としたいと仮定しているため、▲1三馬に対しては△同玉より、△同桂を優先的に読むことになるはずです。2二にいるのと、1三に呼び出されるのでは、3一への逃げやすさに差がありますから。
▲1三馬△同桂に▲2一金の詰み筋を見つけて、あとは上記と同じく、2手目の応手を確認すれば、詰みとわかるはずです。
ここまでの流れとして、▲2三金を検討して駄目だと判断して、ほかの手として▲1三馬を挙げました。
本当は「3一に逃げられない、または3一に逃げられても詰む形を探す」と方針を立てたら、1.「その方針に沿った手をすべて列挙」、2.「複数あった場合はほかの原則を使って優先順位を考える」の2ステップ入れてから次にいったほうが迷わずにすみます。
ただ、とりあえず動かしてみるというのも、実践的ではあります。3手詰めを解くときは、思考の停滞だけ防げば何とかなることが多いものです。
まとめ
この問題は3手詰めとしては簡単な部類です。いくつかある原則の、どれから考えても何とかなりそうだからです。具体的には1五銀に注目する解法、後手の応手を△3一玉を仮定する解法を実践しました。
本問の流れ
1.1五銀を使えていない
→相手玉を1五銀に近づける
→▲1三馬の発見
→▲1三馬△同玉▲1二金という詰み筋の発見
→▲1三馬に対する応手の確認
2.相手玉は△3一玉~△4二玉と逃げると予想
→3一に逃げられない、逃げられてもいい手を挙げる
→▲1三馬の発見
→▲1三馬△同桂▲2一金という詰み筋の発見
→▲1三馬に対する応手の確認
出てきた原則
・玉の逃げ道をふさいでいるかを見る
・役立っていない駒を使う
・守備側は自玉を中央に逃がすべき
・1回1問なら図面複数はいらないかと思い直しました。長く続けるため、作業を簡略化して、誤字チェックとかも減らす方向でいます。
・問題は「詰棋ドリンク」(週刊将棋編)から使わせていただきました。