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3手詰めの解き方 2019-3-1

ここからは、1回1問で投稿していきます。

次の問題を、ちょっと考えてみましょう。

第4問

この問題は、詰将棋慣れしているひとにとっては、非常に簡単です。いわゆる「一目(ひとめ)」で解けるでしょう。一方、▲1三飛成や▲2二銀成から考えてしまうひとは苦戦をしいられそうです。そんなあなたはぜひ、一緒に考えていきましょう。


前回までは、使えていない駒を使うという原則を繰り返し用いてきました。しかし今回は、この原則は使えません。なぜなら、使えていない駒がないからです。いちおう確認してみると、1一飛は1二、2五歩は2四、3三銀は2二と2四、5五角は3三をふさいでいます。どの駒も働いていますね。

この使えていない駒を使うという原則が使えないので、第4問は別の原則を必要とします。新たな原則として、協力関係に注目する考え方を導入しましょう。

原則 最終形は「王手する駒+支えの駒」が協力する

例外はありますが、最終形、詰将棋でいう答えの図では、攻め方は少なくとも2枚の駒が協力していて、その2枚は「王手する駒」と「支えの駒」に分かれています。
説明のために、頭金の図を作りました。詰み形の基本とされる形です。

見ればわかる通り、攻める側には2枚の駒がいます。5二金で王手して、その金を5三歩で支えていますよね。もし5二金がなかったら王手にならないし、5三歩がなかったら金を取られてしまいます。これが「王手する駒(5二金)+支えの駒(5三歩)」の関係です。ほかの詰み形や、詰将棋の解答図を見ても、だいたい「王手をかける駒+支えの駒」の構図を見つけられるはずです。
例外として、飛び道具である桂を使った王手、または合駒がないときの飛・角・香の王手は1枚の攻めで詰むことがありますが、3手詰めで出てくることはほとんどありません。基本は「王手する駒+支えの駒」です。

この原則を知ってもらったうえで、もとに再び図を見て、この「王手する駒+支えの駒」を見つけ出すことができるかどうかに勝負をかけましょう。コツとしては、王手をできない駒を探すことです。

私なら、5五角は支えの駒にしかならなそうに見えます。なぜかというと、王手をかけられない唯一の駒だからです。王手をかけられないということは、残る役割である支えの駒にしかなりませんから。

続いて、5五角の協力相手を探します。どうやら3三銀になりそうです。具体的には▲2二銀成の王手が、5五角を支えにした王手になります。この前提を持って、詰み形を探します。これは、最初によくない例として挙げた「▲2二銀成から読む」のとは、似て非なる考え方です。

▲2二銀成で詰むのはどういうときかというと、玉が、1二、1一、2一にいるときです。そのうち3手詰めでは玉の移動は1マスが限界なので、1二に確定です。(これでうまくいかないときには、1四をふさぐことも考えます)。

1二で詰むということで、▲○○△1二玉▲2二銀成の手順となる初手を考えます。後手玉を1二に移動させる方法は1つしかありません。▲1二飛成ですね。なぜかというと、1二に移動させるには1一飛の利きを外さないといけないからです。盲点になると思いますが、▲1二飛成は1二への利きを外す手です。

これで、▲1二飛成△同玉▲2二銀成で詰みではないかという仮説を立てることができました。たしかに詰んでいるようです。

あとはこれを確認します。▲1二飛成に△同玉ではない応手は2通りあります。△1二同金と△1四玉の2通りです。それぞれ考えましょう。

▲1二飛成に△同金は▲2四銀成、▲1二飛成に△1四玉▲2四銀成で詰みですね。この辺は、読んでいる皆さんは解けると前提にしています。できないひともいると思いますが、そういうひとは頭の中で動かす練習としてやってみてください。それも難しいひとは、とりあえず問題を解くことより、慣れることを優先したほうがいいでしょうね。

まとめ

今回は新しい原則、考え方が出てきました。将棋における「逆算」の基本といっていいでしょう。「手順を組み立てる」感覚を持つためには、必要な考え方だと思います。

本問の流れ

5五角と3三銀が協力すると予想
→具体的な形は▲2二銀成
→後手玉の位置は1二と予想
→▲1二飛成△同玉▲2二銀成の手順を構成
→2手目の変化を確認

出てきた原則

最終形は「王手する駒+支えの駒」が協力する



・問題は「詰棋ドリンク」(週刊将棋編)から使わせていただきました。


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