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将棋の仕掛け方講座1.5 仕掛け方と仕掛け形

3連休を無為に過ごしたくないという思いから、仕掛け方講座1は勢い任せに書いて公開した。結果、脱線が多く、エッセイ調になった。私にとっては文章練習でもあるので、文体はそのままにする。私に合っているようでもある。
しかし前回の記事で、私は本来の問題をとらえ損なって伝えていた。そのための補足をする。

「分からない」と「知らない」の違い

将棋の高段者であれば、細かな言葉遣いで相手の棋力がある程度分かる。言葉選びに、その人の思考がにじみ出るからだ。初級者であればあるほど、あいまいな言葉で疑問を発し、早々に答えを求める。そうして、問題をとらえ損ねる。課題に昇華する機会を逃し続ける。自身の課題を発見できれば、やるべき作業も分かるというのに。
私からすればもったいなく見えるが、当たり前でもある。問題解決においてもっとも難しいのは、適切な問題を見つけることだからだ。適切な疑問を素早く持てる人間は、将棋でないとしても、どこかでその訓練をしているはずだ。

自身の経験を振り返っても、私も同じミスを何度もしている。し続けている。

前回の講座を読み直して気づかされた。私は「仕掛け方が分からない」の疑問を、「仕掛けの形を知らない」に変形して回答していた。私が見た人の課題だったからだ。何の違いがあるのかと思われるかもしれないが、話の展開がまるで違う。「仕掛け方が分からない」の疑問が導くのは、「仕掛け方とは何か」の定義だ。哲学の領域であり、求めている人はほとんどいないだろう。
仮に全く知らない相手から、「仕掛け方が分からない」と私が相談を受けたとする。私は答えに詰まるだろう。なんとあいまいな質問だろうかと困惑しながら。インフルエンサー的な方々は、この困惑をうまくごまかしつつ、相手を納得させる回答を出せる口のうまさがあるだろう。コーチングスキルもあればなおいい。残念ながら、現実の私は口下手で、窮屈な人間だ。だからこそ文章に寄りかかる。

一方、「仕掛けの形を知らない」という問題であれば、もっと具体的に答えられる。知識を増やすか、知っている形を応用力するかのどちらかだ。
仕掛け形の基本として、ほとんどの人はすでに棒銀を知っているはず。前回はその応用を考えると視界が広がるとのアドバイスだった。それでも2000文字近く書いた。

もし答えられない疑問があれば、答えられるよう変形か分解するべきだ。それで駄目ならあきらめて、別のアプローチを考える。


ちなみにこども教室だったら、ただただ棒銀を勧めればいい。ある段階まで(私が主に手伝っていた教室では5~8級、将棋ウォーズだと5級前後?)、駒取りの見落とし、駒の勢い、両取り、玉の追い方で勝敗が決まる。仕掛けの成否など問題にならないし、本人たちも気にしていない。意欲さえあれば、自発的に別の戦法も覚えていく。
おとな相手でも勝敗を決める要素は変わらないだろうが、自分の序盤を冷静に見て気づけるがゆえに悩んでしまうのだろう。悪いことではない。
重要度に応じて、時間配分をするべきではある。

もう一つ言っておく。将棋ウォーズ四段、将棋クエスト2200点の私からすると、将棋ウォーズ二段、将棋クエスト1800点くらいでも、仕掛けから一方的な展開は珍しくない。同様に、将棋ウォーズ七段、将棋クエスト2700点氏からすれば、私の仕掛けも甘いだろう。どちらにしろ、仕掛けのミスだけで勝負を決められるほど、完璧な中終盤を我々は指せない。

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