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最北端だが寒くない 気温のレキシ(稚内)

各地の気温の歴史について調べて分析しています。

マクロな地球温暖化や気温上昇の話ではなく、
ミクロに、各地の過去の気温の推移がどうだったかを調べています。

前回までに引き続き、今回も北海道エリアについて調べてみました。
今回は、稚内(わっかない)の気温の推移を分析します。


1.稚内の気温の歴史

下の図1~3は、1938年から2023年9月現在まで75年間の稚内の気温推移です。
元データについては、いつもと同様、気象庁のデータベースにある観測結果を利用し、作図分析しています。
(図表は簡易的なものである点ご了承ください。)

なお、気象庁のデータベースはこちらです:「過去の気象データ検索」
(あるあるですが、役所のHPはホントわかりづらいです。このデータベースも見つけにくい深い場所にあります・・・ 公務員何とかしろ!というのに加えて、貴重なデータが活用されにくい構造になっているのがもったいない。)


図1.平均気温(稚内)


図2.最高気温(稚内)


図3.最低気温(稚内)

グラフを眺めて見ての所感は、つぎのとおりです。
これまでに見てきた他のエリアと、やや傾向が違うようです。

  • 平均気温は、約75年でおおよそ2℃くらいのレンジ幅を持って上昇。

  • 最高気温は、75年間の近似で見ると、ほとんど変化していない(ただし、2018年ころからは高温が続いている点は注目)。

  • 最低気温も上がっているが、その上昇度は比較的小さい。


稚内では、各気温とも他の地域に比べて上昇度が小さく、最高気温に関してはマイナスとも見えます。

平均気温は、上がってきてますが、その上昇度は比較的小さいです。

最高気温について、1938年~1950年ころ、稚内では30℃を超える高温の年が多かったようです。
ここ最近だけでなく、戦中戦後期にも最高気温が30℃以上になることが多かったようですね。

最低気温について、これまで見た他の地域と同様に、稚内でも最低気温は上昇しています。ただし、その上昇度合いは小さいようです。

以上、概観となります。

私はこれまで知らなかったですが、稚内の最低気温は、それほど低くないのですね。
北海道の内陸部のように最低気温が-20℃以下になることは無いエリアだと初めて知りました。

私的な感想として、、、
稚内、良いですね!!
これからどんどん住みやすい気候になっていくのではないでしょうか!?

最高気温はほとんど変わらず、
比較的、冬にそれほど寒くならず、
かつ、最低気温も(人が住むのに心地いいくらいに??)上昇してきている様子です。

しらんけど。

次章、稚内の気温推移の詳細を見ていきます。


2.稚内の気温の歴史(詳細)

いつものように、
①平均気温、②最高気温、③最低気温の各グラフについて、
近似曲線を引き「温度の上昇度」を調べてみました。

一次の近似曲線の傾きを比較したところ、

①平均気温:0.0159 [℃/年]
②最高気温:-0.0004 [℃/年]
③最低気温:0.0404 [℃/年]

となりました。

近似曲線の傾き、
つまり、1年あたりの気温の上昇について、
①平均気温0.0159は、これまで見た他の地域の値より少し小さい値となりました。
②最高気温の-0.0004は、ほぼゼロに近い数値で、近似曲線で見ると、最高気温はほとんど変化していないと言えます。
③最低気温0.0404は①に比べ大きく、やはり稚内でも、最低気温の上昇度が高いことがわかりました。ただし、他の地域と比べるとその値は小さいようです。

特筆すべきは、②最高気温ですね。
この観測期間でみると、これまで見た他の地域とは異なり、
最高気温はほとんど上昇していないということになります。

(念のため、気温上昇傾向が見られる1950年以降での近似曲線の傾きを取ると、
②最高気温:0.0135 [℃/年] となりました。
若干ですが、上昇しているという結果になります。)

温度上昇について、1938年以降の近似式の係数から計算をすると、
過去75年間での各温度の上昇は、つぎのようになります。

①平均気温:1.19℃
②最高気温:-0.03℃
③最低気温:3.03℃

絶対値で見るとわかりやすいですね。

最低気温は上がっていますが、他の地域に比べるとその上昇はかなり小さいです。相対的に小さいです。

最高気温に関しては、
検討の余地があり、あくまで一次近似でのざっくり考察となりますが、
各地の気温の歴史を分析していて、
はじめてマイナスの値、つまり最高気温が下がっているというデータを見つけました。
今後の観測データに注目したいです。

以上の分析のまとめです:
・稚内も他の地域と同様、「最低気温の上昇度が大きい」ということが見えましたが、その値は小さいことがわかりました。
・加えて、稚内の最高気温はほとんど変化していないということがわかり、新たな発見でした。

ひとまず、雑ぱくな傾向分析として、稚内の気温の分析でした。

また、違うエリアの気温について分析をしていきます。

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