気付けば 五十路前7(地獄の始まり)

元気いっぱいヒーローになり切って2階で遊んでいた私の前に【最大の敵が現れた】

「〇〇のおっちゃん」と家族も私も呼んでいた。

「おっちゃん」は母親と仲が良い「〇〇のお兄ちゃん」と同じ九州地方から職を求め関西に出て来た人で「〇〇のお兄ちゃん」と同じアパート(同じ部屋だったと思う)に住んでいた。皆、建築関係の仕事をしており、近くにある母親のお好み焼き屋は寡の食を潤す場所だったようだ。

いつしか母親のお好み焼き屋は所謂【スナック】に変わっていた。カラオケを楽しんだり、お酒を出す所。営業時間も遅くまでになり、ますます母親と会う機会がなくなってしまった。

父親は仕事帰りに母親のお店に行く事もあったので「〇〇のお兄ちゃん」・「〇〇のおっちゃん」とは何回も面識があり、正月には自宅にも呼んでお酒を飲む事もあった。また当時、お金がなかったであろうお兄ちゃん達にお酒やご飯をご馳走する事もあった。

父親が私に

「こないだお母さんのお店に行ってな、新しいお客さんに別の人がな『ママのご主人ですよ』って紹介してくれたんやけど、凄い驚かれたわ」と笑いながら話して来た。

何が面白いのか。

父親は、その新しいお客さんは「〇〇のお兄ちゃん」が旦那さんだと思っていたという話をしたいのだ。お前が言っていた通りだとでも、言いたいのだろうか。

しかし、私からすると、それはあくまでも憶測の話でしかなく父親からはっきりと

「母親は〇〇のお兄ちゃんと仲が良い、お前の事を嘘つき言うてたけど、お父さんは信じているからな」ぐらいの話をしてほしかった。

私は、まだ5歳なんだぞ。

私が勇気を持って伝えた言葉は、実の母親によって【嘘つき】で終わってしまったのだ。

私は嘘を付いてはいない。しかし、それを証明する事はできない。でも、父親には「お父さんは信じているぞ」とその場凌ぎでも良いから言ってほしかった。フォローしてほしかった。

母親からも「アンタ、嘘付いたやろ」と言われる事もなく

結局、モヤモヤした気持ちのままでこの話は、終わってしまうのだ。

私は、母親から「嘘つき」って思われてるんだと思ったまま、生活が続いていく

「〇〇のおっちゃん」は祖母とも何度も面識があり、話好きな祖母には、好まれるお客さんだった。

夕方に来て、ご飯を呼ばれて帰って行く(多分、お金がない時に、我が家でお酒とご飯を呼ばれていたのだろう、後半はそれだけが理由ではなかったが)

祖母の話を聞いて時間を過ごし、ご飯を食べて帰る。祖母が夕飯を作っている間に私が居る2階に上がってくる。そして私の下半身を触る。その後は普通の顔をして、ご飯を食べて帰って行くのだ。

この年の夏に、母親と仲の良い「〇〇のお兄ちゃん」の故郷に母親と兄と3人で行くことになった。【関西から九州まで、かなり距離がある他人の故郷に行く】このシュチュエーションで何の感情も無いプラトニックな関係なら凄い事だが。

この九州旅行は2年連続で行われた。私は言われなかったが、兄は向こうの親戚の方に「また、来たんか」と言われたそうだ。

そら、そうだ私達は、何の関係も赤の他人なのだから。

私は今回の九州旅行だけでなく、日常の楽しいイベントがあった際にも、常に頭の中を【いけない事】をされている、隠しているという罪悪感なのか、嫌悪感なのか分からない感情がほとんどを支配し、手放しで100%楽しいというような事は無くなってしまっていた。





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といちゃん
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