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日本人が転職しない理由は、転職しても年収が上がらないから

「外資系企業では、社員の転職が当たり前」である。では、なぜ当たり前なのか。突き詰めると、その理由は転職したほうが待遇が良くなるからだ。年収が上がり、昇進できる。だからポンポンと転職し、よりよい会社を目指す。

もちろん、ウツや適応障害で離脱する者もいる。だが、そういう人間も休職ではなく転職を選ぶのは、結局のところその方がキャリアアップできるからである。

……という、当たり前の前提がスルーされて、「なぜ日本人はこんなに転職しないのか!」と議論されている、という実情がある。

そもそも、転職はコストが高い行為である

たとえ外資出身の人間であっても、転職は面倒だ。社内システムから人間関係まで変えて、新たな場所へ行かねばならない。会社の近くに賃貸を借りていたなら、引っ越しだってせねばなるまい。転職することでこれまで蓄積した「社内での信頼」はほぼリセットされ、またイチから人間関係を作らないといけない。

つまり、転職なんてしないで済むなら、しないほうが楽なのである。それでも外資の人間が転職するのは、そこにメリットがあったり、どうしようもない理由があるからだ。

どうしようもない理由とは、上司が社内政治に負けたせいで部署ごとなくなったり、その法人自体が日本撤退を選んでオフィスが消えたりすることを意味する。up or outというが、それ以前に自分の立ち位置が消えてしまうのだ。そして、部署や法人ごと居場所がなくなったとしても、その人は転職できる。なぜなら、ジョブ型雇用では「◯◯のスキルを持つ人間」が募集されており、そこに当てはまれば採用されるからである。

その証拠に、労働環境がホワイトな外資系企業では、勤続年数10年超えの社員がごまんといる。たとえば、私がかつていたLVMHは、出世も降格もなく長年働く方が多い法人だった。時短で子どもが大きくなるまではのんびり働きたい、なんて方も結構いた。外資=出世しなければクビなんてことは、決してないのである。

日本企業で転職を繰り返しても、メリットが少ない

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