夜の言葉と夜の読書の記憶
思い返せば、10代の頃は家族が寝静まった夜にいつもひとりで本を読んでいた。物語が終わりその余韻を感じながら眠りにつくのが好きで、本を読み終えるのは夜ひとりの時間になるよう、気を使いながら読んでいた。
著者のル=グウィンは『ゲド戦記』や『闇の左手』で知られるSFファンタジー作家。自らがどのように小説と出会い、小説を生みだしているのか。ファンタジー、SFというジャンルや小説全般に対しての辛辣で真摯な言説の数々は、小説が持つ力とは何かどこまでも追及してきたル=グウィンだからこその