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官民連携し持続的支援を/東北活性化研究センター・伊藤孝子主任研究員に聞く

 人口減少が進む東北で地域の活力を維持するためには、移住者を呼び込むための施策や若者の定住が鍵となる。東北の自治体や民間団体にどのような取り組みが求められるのか。移住・定住促進策に詳しい東北活性化研究センター(仙台市)の伊藤孝子主任研究員に聞いた。

―地域で活躍する移住者が東北で増えている。

「東日本大震災後、東北のために役立ちたいと首都圏などから被災地に移り住んだ人がたくさんいた。地域に根差した人材になり、今も漁業や観光をはじめとする分野で課題解決に取り組んでいる人たちがいる。地域の住民も外部から人材を受け入れることの大切さを実感できた」

―移住希望者に選ばれる地域になるために必要な施策は。

「支援を切れ目なく継続するため、自治体と地元の民間団体、地域住民の連携が重要になる。移住は就業や住まいが課題となる場合が多く、地元企業も含めて地域の総合力を発揮しながら推進するのが理想。資金や人的資源が限られる中、若者や子育て世代など、どんな人たちを呼び込むのかターゲットを定めることも必要だ」

―地域振興に移住者の視点を生かそうとする動きもある。

「移住者は、地元の人がなかなか気付かない地域資源や暮らしの魅力を映し出す『鏡』のような存在。移住相談窓口のコーディネーター役として活躍しているケースもある。地域の魅力をさまざまな形で発信し、Uターン人材の獲得や若者の流出抑制に役立っている人もいる」

―若者の定住を促す施策も課題だ。

「地域内で、若者が求める給与水準の高い仕事をすぐに増やすことは難しい。若者たちが起業やまちづくりなどに、失敗を恐れずチャレンジできる環境をどう整えるかが大切。シニア世代を含む地域住民がしっかり若者の声を聞いてニーズを把握し、施策につなげてほしい」

―人手不足を背景に企業の外国人の採用が拡大している。

「外国人材を活用する企業は今後さらに増えると見込まれ、各地域で受け入れ態勢を考える必要がある。いずれ母国に戻る人たちかもしれないが、『よい地域だった』という評価が得られれば継続的な人材確保にもつながるだろう」


【略歴】いとう・こうこ 建設会社勤務を経て2016年東北活性化研究センター入り。
調査研究部主任研究員として移住・定住や企業の副業・兼業人材、女性活躍などを
テーマとした調査を手がける。44歳。宮城県七ケ浜町出身。

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