発展目指し市場開拓を/中小機構東北本部長・宮本幹氏に聞く
新型コロナウイルス感染症の5類移行から5カ月余りが経過した。経済活動が活発化する中で、東北の中小企業は経営課題とどう向き合っていくべきか。中小企業基盤整備機構(中小機構)東北本部長の宮本幹氏(62)に聞いた。
―東北の企業が抱える課題は。
「人手不足、事業承継の遅れなどさまざまあるが、少子高齢化による人口減少に伴い、国内の市場規模が縮小傾向にあることが最も大きい。東北にも売れ行きの伸び悩みを感じている企業は多いが、日本酒、加工食品、工芸品など優れた商品が数多くある。売り上げ拡大を目指すならこうした商品を発掘し、成長の続く海外に販路を開拓していくことを勧めたい」
―中小企業の海外進出はハードルが高い。
「中小企業が単独で進出するのは実務的にも心理的にも困難だが、中小機構では企業や商品の情報発信、海外でのマーケティングの支援をしている。昨年度は東北6県の日本酒をオーストラリアの商談会に出品し、現地のバイヤーやレストラン利用者に7社の商品をPRした。そのうち6社で商談が継続している」
―コロナの5類移行で経済は活発化している。好機を生かすには。
「海外への企業や商品の情報発信はインバウンド(訪日客)の需要喚起にもつながるだろう。一過性の消費に終わらせず帰国後の消費につながるよう、海外向けのEC(電子商取引)の活用が有効だ。リピーターを確保しやすいECで販路を開き、成長につなげてほしい」
―東北の経営者らに伝えたいことは。
「取り巻く経営環境が目まぐるしく変化する中でも、新たな市場を開拓していくなど、現状に満足せずチャレンジする姿勢を持ち続けてほしい。高齢化が進むが、経営者に挑戦する気概があれば年齢は関係なく、解決できない経営課題はないだろう。そうした意欲ある企業の支援を続けていきたい」