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訪日客増で観光復活を/東北観光推進機構 紺野純一理事長に聞く

新型コロナウイルス感染症の5類移行で、観光需要の本格回復に期待がかかる。東北各地にいかににぎわいを取り戻していくか、今後の戦略などを東北観光推進機構の紺野純一理事長(73)に聞いた。

こんの・じゅんいち 1968年国鉄入社。87年JR東日本入り。福島駅長、仙台駅長、仙台ターミナルビル専務取締役ホテル事業本部長兼ホテルメトロポリタン仙台総支配人などを歴任。2015年東北観光推進機構専務理事。22年から理事長を務める。73歳。福島市出身。

―コロナ禍での東北観光への影響は。
 「東北へのインバウンド(訪日客)誘致は遅れていたが、コロナ流行が本格化する前の2019年には宿泊が168万人と過去最高を記録した。国内宿泊客も3300万人で、東日本大震災以降で最高だった。これほど好調だったときにコロナ禍に見舞われ、大変残念だった。全国旅行支援など政府の観光需要喚起策はあったものの、一部の人は旅行への心理的ハードルが高かった。コロナの流行から3年余りで5類に移行して明るい光が見えてきた。移行後初めての夏。夏祭りなどをきっかけに東北全体が活気を取り戻してほしい」
 ―この先の観光戦略をどう描くか。
 「国内旅行のウエートは大きいが、日本の人口減少と少子高齢化を踏まえ、今後はインバウンドを重視して取り込んでいきたい。インバウンドの消費単価は高く、経済波及効果が大きい。旅行者の内訳は、19年の宿泊168万人のうち74万人が台湾で全体の44%を占め、アジアを中心に近場からの観光客が多い。近年はオーストラリアのスキー客が八甲田や夏油(げとう)に来るようになっているが、欧米も含めタイなど東南アジアからの誘客に力を入れる」
 ―外国人にとって東北の魅力は。
 「桜、紅葉、雪など四季を切り口にした観光資源、平泉や松島などの代表的な観光地はとても人気がある。1月に米紙ニューヨーク・タイムズで盛岡市が取り上げられたように、東北のポテンシャルは大きい。東北全体で考えれば、さらに誘客につながる要素もある。例えば桜では角館や弘前など単体ではなく東北全体でPRすると、福島から青森まで桜前線の北上に合わせて1カ月以上桜を見ることができる。紅葉で言えば青森の八甲田から南下して山形の蔵王、福島の吾妻山などまで楽しめる。東北の太平洋沿岸に開通した1025キロの自然歩道『みちのく潮風トレイル』など新しいコンテンツも増えている」
 ―どのように誘客を進めていくか。
 「コロナ禍で『東北観光DMP(データマネジメントプラットホーム)』という仕組みを構築した。これは観光客の移動や消費の動向を属性別で分析できるもので、インバウンド客がどこから東北に入りどこを訪れ、どのくらい消費しているかなどを数字で可視化できる。戦略的にデータに基づいたマーケティングが可能になったので、東北各県と連携して来訪者と消費の増加を目指す。観光を復活させ、東北を元気にしていく年にしたい」

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