伝統と革新が交わる 若き蔵元が織りなす未来への挑戦② 【とうほくGenki × 岩手県酒造組合】
海外での日本酒人気が高まる中、国内では若者の日本酒離れが課題となっています。その中で、日本酒の魅力を若い世代にアピールしようと、各酒蔵による伝統にとらわれない新しい「日本酒」へのアプローチが注目を集めています。
若き蔵元たちの日本酒に懸ける新たな挑戦について、岩手県酒造組合の及川順也(岩手銘醸株式会社 専務取締役)さんにお聞きしました。
念願のGIに登録
輸出拡大に向けて期待
今年9月、岩手で造られる清酒が地域ブランドを保護する国の「地理的表示(GI)制度」に指定されました。組合として若者の日本酒離れなど日本酒の国内需要が低下している中、これからは海外への輸出が重要になると考え、指定に向けて取り組んできました。スタートアップイベントも開催し、私もパネラーとして参加しました。GIは「正しい産地」であることや「一定の基準」を満たして生産されたことを認めるもので、海外で認知度が高く、海外での販路拡大や訪日客へのアピールにつながるチャンスだと考えます。
「GI岩手」は国産米と県内で採取された水を原料として、製造から容器詰めまで県内で行うものに限られ、米や米こうじ、酵母など全て県産原料を使用したものは「オールいわて清酒」と名乗ることができます。認証を示すオリジナルロゴも制作し、認証酒は今後一般販売されます。当社としても輸出拡大に向けて、加速していくものと期待しています。
岩手の日本酒を世界へ
仲間とともに新たな1ページを描く
今秋、県内21の酒蔵がこだわりの銘酒を販売する「いわて酒蔵フェスタ2023」を盛岡市のJR盛岡駅前で初開催しました。1200人超の来場があり、県内外の日本酒ファンで盛り上がりました。
また組合の若手有志で日本酒の魅力を発信しようとプロジェクト「ganshu(がんしゅ)」を立ち上げました。県産米を使う統一コンセプトとストーリー性があるラベルで独自の銘柄「ganshu」をつくる取り組みで、既存ファンはもちろん、SNSで若い世代からも多くの反響があり「若い人たちのファンを増やす」目標にも近づいたと感じています。「ganshu」は「岩手の酒(岩酒)」を意味し、ローマ字表記にしたことで、いずれ世界中に発信したいという願いを込めました。
GIを契機にこれから県内の酒造が長い年月をかけて、全国、世界へと飛び出して、大きなムーブメントになることを信じて頑張る、新たな1ページを仲間のみんなで描きたい、そう自分を鼓舞しながら挑戦し続けていきます。
岩手県酒造組合 組合員
岩手銘醸株式会社 専務取締役
及川順也(おいかわ・じゅんや)氏
仙台市の酒卸売業を経て、2011年に岩手銘醸株式会社に入社。17年に同社専務取締役。前沢商工会青年部や水沢青年会議所にも所属し、22年に岩手県酒造組合の若手メンバーで組織する県青年醸友会会長に就任。奥州市出身。37歳。
岩手県酒造組合
盛岡市馬場町4-19 TEL/019-623-6121
URL/http://iwatesake.jp/
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