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【宮城の新風】コメの有機栽培に挑戦、稼げる農業目指す

 青々とした田んぼに風が渡る。宮城県角田市君萱地区の我妻莉奈さん(28)は祖父から水田8ヘクタールを受け継ぎ、うち30アールで除草剤や化学肥料を使わない有機栽培に取り組む。
 独り立ちして2年。暑さの影響か、昨年はコメに白濁やひび割れがあった。今年も梅雨明け前から高温が続き、生育が懸念される。「試行錯誤の段階。失敗も織り込み済み」と笑う。
 生まれは岩手県岩手町。2021年まで地元企業に勤めていたが、後継者のいない祖父(86)を手伝うため角田市に転居した。
 体を使う農作業は苦ではなかった。「やればやるほど面白い」と感じた。
 しかし、祖父の代から収支はとんとん。赤字になる年もあった。「稼げる農業にしないと続けられない」
 祖父の知人に手ほどきを受け、高付加価値が期待できる無農薬での米作りを始めた。知恵を絞り、収量アップの工夫を重ねる。「手間をかけた分、うまいコメになるはず」と胸を張る。
 作業方法を助言したり、手を貸したり。地区の人たちも温かく見守る。
 角田で有機栽培を軌道に乗せたら、法人化する夢を描く。「従業員を雇って規模を拡大し、地域を引っ張る存在になりたい」(河北新報社)


祖父の田んぼを継いでコメの有機栽培に挑む我妻さん=2024年8月、宮城県角田市君萱


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