【読書ノート】どんな物語がお望みかな?-社会構成主義入門
組織構造と対話は、組織を運営する上で、相互補完的なものだと最近考えるようになりました。
役割や責任、権限といった組織構造の無い中で対話を行うと組織が目的に向かって進むことが出来なくなりますし、対話がない中で、組織構造に固執すると、組織が環境の変化に対応できなくなり、組織存続が難しくなると考えるからです。
そもそも「対話」とは何か?
それを考えるにあたって「現実はいつも対話から生まれる」を読んでみました。今回は、この本に関する備忘録を残していきます。
どんな物語がお望みかな?
「どんな物語がお望みかな?」というセリフは、人間関係に由来する問題を解決する上で、強力な武器になりえるのではないでしょうか。
人は、2人以上の人が集まってコミュニティを作り、そこでの役割を担います。親と子、先生と教師、上司と部下、先輩と後輩、夫と妻。
この関係性における解釈のズレが、多くの問題を引き起こしています。
子どもとはこうあるべきなのに、なんでうちの子は・・・
なんで部下なのに気が利かないのだろうか・・・
男性とはこうあるべき・・・
このような「在り方」は、物語の中で、捉えなおすことができる。
このように考えることは、関係性を再構築する上で、機能する考え方です。
組織の目的と個人の役割を接続する
組織には目的があり、目的を共有することで人が集まります。
企業の場合は、目的のことを企業理念とか経営理念とか呼んだりしますが、これは、発案者が理想と現実を埋めるために創り出した物語です。
組織が拡大する中で、構成員の役割について専門化が進みます。
そうなると、各構成員の役割が細分化され、組織の目的とのつながりが弱くなり、これが組織としての凝集性を阻害することになります。組織の中の皆がバラバラの方向を向きだすと、途端に組織は弱くなります。
以前は、個人の飢餓感からの脱出という「恐怖」で組織と個人をつなぎとめることが出来ていたかもしれませんが、食べるに困らなくなってきた今の時代、恐怖という方法だけで組織と個人の接続を維持し続けることは難しいでしょう。
この時、構成員の細分化した役割と組織の目的を接続する物語を共有するための対話が、必要となるのではないでしょうか。
物語が次の行動へと導く
組織において「人を責めるな、仕組みを責めろ」といったりしますが、仕組みに原因を求めることで、個人的な苦悩は軽減され、集団的解決に目が向くのは、会社組織においても同様です。
これは、個々人の考え方というよりも、組織における問題に対処する際の「在り方」であり、例えば、「ミスをした」という個人が引き起こした事実を、その後の「ミスがない組織」に向けた物語の一部として捉えなおす集団的な解釈です。
組織と対話について
組織には目的があり、現在地点から目的が実現できているであろう地点に向けて、リーダーが紡ぐ物語(メインストーリー)が橋渡しをしていきます。
メインストーリーという幹があり、メインストーリーがゴールに向かう上での、それぞれのサブストーリーが展開され、組織全体の世界観を作っていく。
組織が拡大する中で、中間層となるリーダーが、メインストーリーとサブストーリーの連結と、サブストーリーにおける登場人物の役割を描いていくこと。
このようなメインストーリーとサブストーリー、すなわち、幹と枝の構造を組織構造で構築し、これを接続させる流れを作るための物語が対話をもって作られていく。
こんなイメージが組織構造と対話の関係性かもしれません。
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