2021年12月18日、東北地方、区切りの日
三陸道が2021年12月18日に全線開通しました。
未開通区間だった岩手県の普代-久慈インターチェンジ(IC)間25キロが同日通行可能となり、全区間359キロの整備が完了。震災10年の年に、東北3県の太平洋沿岸を結ぶ高速道路がつながりました。
この三陸道全線開通は、地元の建設業者の皆様にとっては、震災以降の意識的な区切りとなる出来事となっているようです。
今回は、三陸道全線開通を一つの意識上の区切りとした上で、今後の建設業を取り巻く環境を「地域建設産業のあり方検討委員会(岩手県)」 報告書 2019年3月』をベースに見ていきたいと思います。
今後の建設投資額の推移
2015年のピーク時13000億円から比べて、復興が落ち着く2021年以降、半分以下の5000億円まで建設投資額が落ちることは、5年以上前から想定されていました。
今回、三陸道全線開通は、復興の一つの区切りになるとともに、東北地方の中での建設関連の競争が激化することを地元の関連業種の経営者の方が意識する、新しい時代の幕開けの合図となっています。
三陸道全線開通がもたらす環境の変化
また、三陸道全線開通は、青森、岩手、宮城の3県を移動時間を大幅に短縮させることとなりました。
車での移動がメインの東北地方において、今後、青森県、岩手県から宮城県仙台市への労働人口の流出が加速する可能性や、今まで以上に広域での企業間競争の激化が想定されます。
人材獲得の競争激化
建設投資額は今後、減少していきますが、それ以上に減少するのが労働者数です。仕事が減るスピードよりも、労働者の減るスピードの方が速いため、需給のギャップは更に広がります。
そうなると、仕事は勿論のこと、人材の獲得競争も激化することが想定されます。
東北地方におけるこれからの経営のポイント
復興後、建設投資額は減少し、仕事が減っていきます。
加えて、道路事情の改善は、広域での競争の激化に繋がり、
投資額減少以上のスピードで、建設関連の労働人口が減少する。
減りゆく仕事、激化する企業間競争。
この中で、受注を獲得するための強みを磨き、生産性を高めることで従業員が定着しやすい職場環境を作っていく。
この職場環境を前提に、若手の採用を計画的に進めて行く。
これが実現できなければ、仕事を取れず、人も集まらず、経営が続けられないという悪循環に陥ります。
この対策についても、『「地域建設産業のあり方検討委員会(岩手県)」 報告書 2019年3月』の記載内容が参考となります。
基本目標は、以下の3つです。いずれも「人」に焦点を絞った目標となっています。
担い手の確保・育成
働き方改革
生産性向上
上記3点については、いずれも「個」ではなく、「組織」としてどのように課題を解決するかが重要な要素となります。
また、別の機会に、この3つの要素については、掘り下げてみていきます。