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承継後の組織運営が上手くいかない最大の理由(ひとつ飛ばし)
年齢も60歳を過ぎ、社長の座を息子に譲られた元社長。
これからは会長として、これまでの経験を活かして、息子である社長の経営サポートをしていこう!
このように考えて、良かれと思ってやってしまうことが「ひとつ飛ばし」の組織内コミュニケーションです。
今回は、事業承継の多くの現場で発生していて、尚且つ、事業承継後の組織運営が上手くいかない一番の理由といっていい「ひとつ飛ばし」について解説していきます。
「ひとつ飛ばし」のコミュニケーションとは?
「ひとつ飛ばし」のコミュニケーションとは、間の階層にメンバーがいるにも関わらず、これを飛び越えて(ひとつ飛ばしして)コミュニケーションを取ることです。
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息子さんに社長の座を譲った後、会長として社長の上にいながら、社長を飛び越えたコミュニケーションをとってしまう会長、いませんか?
「社長はまだ若い。自分も社員に意見をしていかないと・・・」
「社長にも分からないことがある。社長の目が届かない所は、自分がフォローして社員を指導していこう」
「社長もまだまだだから、会長の自分が社員の意見を聞いてあげないといけないな」
このように会長は良かれと思って、社長を飛び越えたコミュニケーションを従業員ととってしまいます。
この良かれと思って会長が行っている「ひとつ飛ばし」のコミュニケーションが組織運営と社長の成長を阻害するのです。
「ひとつ飛ばし」はなぜいけない?
「ひとつ飛ばし」がダメな理由は、以下の3つです。
社長の責任が曖昧になる
社員が社長と対等だと勘違いする
会長派?社長派?で現場が混乱する
そして、その先に「会長が社長のことを低評価する」が起こってきます。
以下、「ひとつ飛ばし」がダメな理由をそれぞれ見ていきましょう。
理由その1:社長の責任が曖昧になる
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「え、会長がそんなこと言っていたの?自分は聞いてないよ」
「それ、会長が進めていた案件でしょ。自分は関係ないよ」
「トラブルが発生しても、それは会長が決めたことだから・・・」
本来は、経営者として全社に責任を持つ社長ですが、会長が会社に残り、社長を飛び越えた指示を出すことで、社長の責任が曖昧になります。
責任が曖昧、無責の感覚になる中で、会社で上手くいかないことがあっても、それは「会長のせい」となり、社長が物事を自責で捉えることが難しくなるのです。
結果、社長は経営者として成長していくことが難しくなります。
理由その2:社員が社長と対等だと勘違い
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会長からこのようなことを言われた古参社員の方、いませんか?
「社長はまだ経験も浅い。間違いがあれば積極的に正してやってくれ」
「相談があれば会長である自分がいつでも乗るから、気軽に声を掛けてきて欲しい」
「最近、社長のマネジメントはどうだ?上手くいっているか?」
良かれと思って、会長が直接、古参社員にこのような声掛けをすると、言われた社員は勘違いを起こします。
「そうか、自分は会社のため、未熟な社長と対等に接していこう」
「困ったことがあれば、会長に言えば、解決してくれそうだ・・・」
「社長のお目付け役として、社長を正しく評価しなくてはならないな」
言われた社員は悪気なく、自分は社長と対等な関係にあると勘違いしてしまいます。すると
社長の指示に従わず、常に意見を戦わせる間柄になる社員が発生
何かあれば即会長に相談。社長の経営者の役割が形骸化
このような社員が現れ、社長が経営者として組織運営することを大きく妨げていくことになるのです。
理由その3:会長派?社長派?で現場が混乱
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会長からの指示と、社長からの指示、違った場合、社員がどちらの指示に従えばいいか分からず現場が混乱します。
特に新しい取り組みを社長が行う場合は尚更です。
「このプロジェクト、社長は進めていきたいと考えているけれど、会長は反対しそうだなぁ。様子見で動かずにいよう・・・」
「会長からこの仕事をやるように言われたが、これをやると社長にいやな顔されそうだなぁ。どちらの指示に従うのが正解だろう」
「社長の指示は聞かなければいけないけど、今まで世話になった会長の考えも大事にしていかないと・・・」
このような考えが、社員の混乱を招いたり、会長と社長を社員の立場で評価し始めることが発生します。
そして、会長が社長のことを低評価することに
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・社長は自分で決めようとしない。トラブルに責任も感じていない。
・社員からも会長である自分に社長を批判する声が頻繁に上がってくる。
・社長を任せたのに、社員は未だ会長である自分の顔色を伺っている。
・もしかして、自分の息子は社長の器ではないのではないか。
・社員から信頼されていないから、会長である自分にいろいろ声が上がってくるのではないか。
・社長には会長である自分がついていないと、まだまだダメだな。
「ひとつ飛ばし」のコミュニケーションの結果、会長は社長を低評価してしまいます。
この低評価を引き出してしまったのは、会長の「ひとつ飛ばし」のコミュニケーションにあるにも関わらずです。
「ひとつ飛ばし」を会長がやめることは難しい
では、社長から会長に「ひとつ飛ばし」のコミュニケーションを辞めて貰うよう進言すればいいのでしょうか。
理屈の上ではそうですが、自分の作った会社が心配、社長のことが心配、社員のことが心配な会長はなかなか「ひとつ飛ばし」を辞めて貰えないのが実情です。
また、残念なことに、会長のこれまでの組織運営の手法が、ワンマン、トップダウンで、全て自分が決めてきたスタイルの場合、現場に直接指示を出す(「ひとつ飛ばし」)以外の方法で社員とコミュニケーションを取ることが出来ないという背景もあります。
では、会社を継承した社長は、会長の「ひとつ飛ばし」についてどのように対応すべきでしょうか。
まずは組織図を描き、組織運営の原則に立ち返りましょう。
もしあなたが社長の立場で、会長の「ひとつ飛ばし」にどう対応すべきか悩まれているとすれば、コントロールできない会長のことを嘆くのではなく、会社経営に対し自責で捉えて、脱会長に向けて組織構築をしていくことが求められます。
そのためには、会社の組織図を描き、ルールを明確に設定し、組織運営の原則に立ち返ることが重要です。
また、組織図やルールを決めていく上で、社長としてこの会社をどこに向かわせたいのか、会社の方向性についても、目的、目標として言語化し、社員に伝えることも必要となります。
組織運営の原則については、また別の機会にまとめていきます。
まとめ
「ひとつ飛ばし」のコミュニケーションですが、事業承継後に会長が会社に残られている企業で非常に多く見られる現象です。
会長は良かれと思ってやっていることが、社長の成長を阻害し、事業承継後の円滑な組織運営において妨げとなっています。
また、以前からの会長のマネジメントスタイルがワンマン・トップダウンの場合、管理者(この場合、社長)を介して組織運営を行う手法が分からないという側面もあります。
このような状況下、あなたが社長の立場であれば、会長の言動を言い訳とせず、組織運営の原理原則に基づき、組織図、ルール等に基づく運営を実施していくことを目指してみてください。
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