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矛盾と向き合い、言葉にする(2025年抱負)

2025年のテーマを備忘録として残しておきます。


◆生きる上で抱える矛盾


『戦おう、とっくに負け戦だが、勝つかもしれないから』

「科学者の熱い心」という本で読んで、書き留めておいた言葉だったと思います。

似た言葉で、

『人間は所詮滅びるものかもしれず、残されるものは虚無だけかもしれない。しかし抵抗しながら滅びようではないか。そして、そうなるのは正しいことではない、というようにしよう。』(セナンクゥール)

という言葉も私は好きです。

歴史に出てくる様々な偉人は、大きな足跡を残しますが、特別に幸福な人生を送ったようには見えません。

生まれて死んでいくのは人間の性で、

『海水を器に汲み取って、その器の海水を海に返せば、死生の道理をすぐ目の前で了解することができる』(言志四録)

にあるように、生きることに意味はなく、生きることに意味を求めるのは、人の弱さでしょう。

学生時代に見た好きな映画『BeRLiN』にも、このようなセリフがありました。

だけど、意味ってそんなに大事ですか?
生きてるだけじゃダメですか。

本当は、生きることに意味などないけれど、そこに意味があると思って行動する、人の弱さと強さを垣間見ることが、私はとても好きです。

◆目標に向かう上で抱える矛盾

何かをやれば、目標に達成できると決まっていれば、誰もが迷わないかもしれません。

何かに挑戦したら 確実に報われるのであれば、 誰でも必ず挑戦するだろう。報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続しているのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている。

『決断力』著.羽生善治 p.171-172

自分に才能があるのか分からない、何が成果に結びつくのか分からない、そんな中、何かに絞り込んで行動し続けることで、成果にたどり着く。

振り返ってみれば、これが成功の要素だったと言えるものがあるかもしれませんが、実際は、成功の要素だと考えられるものには全て挑戦し、たまたま成果に結びついたことで、努力が報われる構図です。

何が成功に結び付くのか分からない。
けれど、何かに絞り込んでいかなければ、人は行動できない。
成功した後、振り返って初めて、成功のための要素が何だったのか分かる。

目標を掲げると、目標達成からのバックキャストで物事を考え、行動していくことが求められますが、目標を達成した後でないと、本当の成功の要素を理解することができない。

目標に向かう上での矛盾は、不確実性の中で発生します。

◆組織で成果を上げる上での矛盾

組織は環境に適応することで成果を出すことができます。

プログラムとヒエラルキーで構成される組織は、必然的に、特定の環境に過剰適応することで他との競争優位を築き、成果を出すため、環境の変化に対して著しく弱い。

しかしながら、特に営利組織は、ゴーイングコンサーン、継続を求められています。

二人以上の人が集まって、同じ目的を共有し、成果を出していくためには、認識のズレを僅少化する必要があります。

特定の環境下で、同一の認識を持って動くことは、環境変化に対する組織対応力を著しく低下させる。

このことが組織を継続させていく上で抱える矛盾です。

◆生きること、意味を作ることで起こる矛盾

生きることに意味があると考えてしまう矛盾。

意味を作り出すためには、再現性のあるプロセスを構築したいが、そのようなものはないという矛盾。

この意味を作り出す作業を集団で実行しようとすると、環境が変化する中で、集団の維持継続が困難となる矛盾。

生きることに意味を見出し、そのための再現性のあるプロセスを模索し、それを組織に適応させることで、より大きな意味をこの世界に作り出していこうとすること。

資本主義における営利組織の運営とは、根本的な矛盾の上に成り立っています。

それも、根本的に解決できない矛盾の上にあります。

それでも、矛盾を解決しようと、ムダな戦いを挑もうとすること。

『戦おう。とっくに負け戦だが、勝つかもしれないから』

このnoteの運用もそうですが、本質的には意味がないことに、意味を見出そうとする無駄な足掻きが、何かに繋がっていくことを楽しんでいくこと、これを2025年のテーマとしていきたいと思います。

2025年、このnote では、上記を踏まえて
・組織運営のこと
・企業経営のこと
・読書その他コンテンツに関すること
・子どもたちとの向き合い方
をテーマに記事を書いていきます。

よろしくお願いします。

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穿つ@組織コンサルタント
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